ボディカラーはクルマを愛でるモチベーションのひとつだ。カーライフを楽しむうえでも、塗装面を保護することは重要なメンテナンスメニューだ。そして、ちょっとした擦り傷の補修から経年変化による色あせ、劣化による再塗装、フルレストア、カスタムペイントまで、クルマを所有すると大なり小なり塗装、ペイントをプロフェッショナルに依頼するシーンは少なからずあるはず。今回は、その自動車補修塗装のプロフェッショナルにクローズアップしたい。
ボディショップの存在
クルマの“塗装”については整備、修理の延長でディーラー、整備工場にお任せするというのが実情ではないだろうか。かく言う私もこれまでに傷補修を数回、全塗装を1度依頼した経験があるが、いずれもディーラーにお任せして仕上がりを待つだけで、どのような業務が行われていたかは気にも留めなかった。
クルマの塗装、ボディの修理を行うのはボディショップ、鈑金塗装屋さん。そこで活躍するのが塗装のエキスパート、ペインターだ。以前、ちょっとしたキズを直そうと“純正色”をうたったタッチアップペンや、スプレーを購入してDIYでトライしたが、色が馴染まずに、かえって目立ってしまったなんて経験をしたことがある。そう、いくら“純正色”を銘打った塗料が入手できても、クルマの塗装面は雨風に晒され、紫外線を浴びて経年変化して退色しているのだ。
そこで、あるペインターに直接話をきいたところ、なんと1台ごとに、塗料の調合、“調色”を行っているということをお聞きした。熟練した技術者などは、クルマの年齢、保管状況から退色具合を素早く予測して調色するという。近頃はボディにスキャナーを当てて塗料の調色のサポートをする機械もあるらしい。
塗装業界について
では、その塗装業界だが、クルマ好きであっても、塗装のエキスパートが活躍する場面を見る機会は少ないだろう。ただ、塗装ブースに入って、スプレーガンを手にマスキングされたクルマのボディに塗料を吹き付けるという光景は、ひょっとしたらどこかで見たことがあるかもしれない。
塗装のエキスパートは日々ミクロの世界の中で戦っている。エキスパートになるまでの道のりは長い。塗装面の大小に関わらず、調色に始まり、古い塗膜を剥がして、下塗りし、様々な粗さのサンディングペーパーを駆使して表面を精緻に整え、マスキングして、いざ塗装。下地の作業を怠ると、どんなに魅力的な色艶を与えても簡単に台無しになってしまう。スプレーガンを持って華麗に舞うあの光景までにはいくつもの工程があるのだ。
しかし、自動車補修塗装というビジネスでは常に効率化が求められ、いつまでも個人の“勘”ばかりに頼ってはいられない。この業界でもデジタル化が進み、大きく変化しているのだ。そのおかげで作業者の経験を問わずできる作業の領域は広がった。このような変化の中でボディショップは、高レベルのエキスパートをチーム化して効率的に台数をこなして利益を生み出す努力を日々重ねている。
人材育成、R-M®の取り組み
自動車補修塗装の担い手ををいかに確保し育てるのか。それは長年業界の大きな課題となっている。BASFの自動車補修用塗料のプレミアムブランドR-M®は、常に環境に配慮した塗料の開発やデジタル化を推進し塗装業界の最先端を行くだけでなく、トレーニングや人材育成といった“人”にフォーカスし、業界を盛り上げるための活動を長年行っている。
その活動のひとつに、1999年以来「業界の持続可能な発展」と「業界を支える若い人材の育成」のために「国際R-M®ベスト・ペインター・コンテスト」を主催している。これは塗料メーカーが主催する唯一のコンテストだ。コロナ禍において延期になっていた第13回大会がついに6月28日からフランスで3日間開催される。我々アウトビルトジャパンは、日本代表として参加する片岡雅也選手にフォーカスしてその模様を追いかける。
第13回国際R-M®ベスト・ペインター・コンテスト
開催日時:2022年6月28日~30日
開催場所:R-M®リフィニッシュコンピテンスセンター(フランス/クレルモン・ド・ロワーズ)
参加国:ベルギー、フランス、イタリア、ポーランド、モロッコ、スペイン、ポルトガル、ドイツ、日本、アメリカ
日本代表:片岡雅也選手 中央自動車鈑金工業所/阪神サンヨーホールディングスグループ
大会協賛:3M、アネスト岩田、COLAD by EMM、SATA、RODIM、siaAbrasives、Horn&Bauer、IRT by Hedson、METTLER-TOLEDO
なお、明日6月2日から2日間の日程で親善大会が開催される。我々はこちらもレポートしていく。
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Text:アウトビルトジャパン
Photo:BASFジャパン