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<p>「トヨタbZ4X」でまさかの電欠!? 長距離試乗で実感した最新国産EVの実力と現在点 – webCG</p><p>「トヨタbZ4X」でまさかの電欠!? 長距離試乗で実感した最新国産EVの実力と現在点</p><p>国産EV待望の最新モデル「トヨタbZ4X/スバル・ソルテラ」の試乗会で、緊急事態発生! まさかの“電欠事件”を通してwebCG編集部員が得た、EV購入を検討するうえで注意すべきポイントとは? 長足の進化を遂げたEVの現状をリポートする。</p><p>確かに、乗り換え時の試乗車の残走行距離については「200km以上。ただしエアコンoffの状態でOK」と注釈があり、このbZ4Xも空調を切ったら表示は200km以上となった。それに、松本から軽井沢までのルートはたったの130kmだ。試乗会の運営スタッフも、まさかゴールにたどり着けない状態のクルマを取材陣に引き渡すはずがないだろう……。まぁ、大丈夫でしょ。多分。 後から思うに、この考えは全くもって甘かったとしか言いようがない。バラエティーに富んだ道を通った前半とは異なり、後半のルートはそのほとんどが高速道路。しかも、先述のとおりスケジュールは押せ押せで、取材班はまあまあのスピードで軽井沢に向かう必要があったのだ。読者諸兄姉ならご存じのとおり、EVはエンジン車とは違い、速度が上がると正直なまでに電費が悪化する。 加えて、後半のルートはスタートとゴールの位置関係も厄介だった。松本市の標高は592m。軽井沢のそれは、終着点である軽井沢プリンスホテルの周辺で940mである。要するに、その行程は高低差350mの“上り”だったのだ。 松本を出ておよそ1時間。雨下の小諸市を過ぎようとしていたころ、ついにbZ4Xが充電するよう警告を発した。ナビに表示された周辺の充電施設を確認するが、軽井沢までの間に立ち寄れそうな場所はなし。このまま碓氷軽井沢ICまで行くしかない。杯水車薪(はいすいしゃしん)は承知のうえでエアコンをオフにすると、フロントウィンドウにたちまち霜が湧いた。取材用の雑巾で窓を拭きながら、ヒリつく思いで上信越道をひた走る。 迫り来る電欠の恐怖におびえながら、どうにか碓氷軽井沢ICに到着。ようやく悪夢の高速区間が終わったかと息をついたのもつかの間、取材班の前に次なる難関が立ちはだかった。標高984mの、和美峠の山越えだ。交差点から伸びる下仁田軽井沢線の上り坂が、筆者にはマジで壁に見えた。 気づけば走行可能距離は21km。bZ4Xは息も絶え絶えである。 拡大 残り走行距離はたったの2km! 時間は17時過ぎ。車窓の景色が少しずつ暗くなるなかで、ついにbZ4Xは最後の警告を発した。走れる距離はいよいよひとケタとなり、筆者は生まれて初めて、EVがパワーセーブモード……通称“亀モード”に入るのを体験した。容赦なく減っていくメーター上の数字。30秒ごとに、「あと何km?」と充電設備までの距離を聞く佐野氏……。bZ4Xが弱々しい足取りで峠を登り切ったとき、筆者が覚えた安堵(あんど)と虚脱感は、どんな言葉でも言い表すことはできまい。 それから小30分後、webCG取材班は、しなの鉄道沿いの充電施設「軽井沢U-Station」で雨宿りをしていた。メーターパネルに表示される走行可能距離は、2km。ゴールへは「50km以上走れる状態」でクルマを届けなければならず、充電が必要だったのだ。 しかし、この期に及んでも不運は続くもので、1つしかない急速充電器には無慈悲にも先客が。筆者らは四半刻ほど雨に打たれた後で、ようやくデンキにありつき、都合1時間を浪費してから最後のゴールへとへさきを向けた。充電後のbZ4Xの走行可能距離は68km。半分死んだ脳みそで、「“急速”っていっても、意外と入らないもんだな」なんて思ったのを記憶している。 最終的に取材班が軽井沢プリンスホテルへ到着したのは、日暮れも間近の18時30分のことだった。筆者の編集者人生で最大の、実に1時間もの大遅刻だ。しかし事情が事情だったためか、誰も怒ったり、イヤミを言ってきたりする人はいなかった。 試乗会にあたって配られた資料には、ルート周辺の急速充電器の情報が。……この一枚の紙がなければ、webCG取材班は軽井沢で遭難していたと思う。トヨタ&スバル広報の入念な準備に感謝である。</p>