この400万円は、阿武町が被告人の口座に誤って振り込んだお金の一部です。これについてはすでに指摘しているように、平成8年4月26日の最高裁民事判例で、誤振込みの場合であっても受取人には有効な預金債権が成立していると判断されています(銀行間のリセットである組戻しや不当利得返還請求訴訟などで事後的に是正することになります)。
さらに、組戻しには誤振込みの相手方の同意が必要であり(最高裁平成12年3月9日判決)、誤振込みだと知って預金を引き出す行為は原則として権利濫用ではないとの最高裁民事判例(平成20年10月10日)もあります。
確かに、刑事判例である最高裁平成15年3月12日決定においては誤振込みの事実を隠して銀行からお金を引き出した事案で詐欺罪が認められていますが、銀行に対して誤振込みであることを告げてお金を引き出す場合は、(銀行はだまされていないので)当然詐欺には当たらず、また銀行も最終的には引き出しを拒めません。
本件でも、すでに銀行は誤振込みであることを知っていたので、詐欺は最初から問題になりません。だから、かりに本件の被告人が銀行の窓口でお金を引き出していたら詐欺にはならず、そして引き出した現金を改めて代金決済業者の口座に振り込んだ場合には電子計算機使用詐欺罪にもなりません(窃盗犯人が盗んだ現金であっても窃盗罪が成立するだけで、それをATMで送金しても電子計算機使用詐欺罪にはなりません)。
要するに、本件では民法で裏付けのある合法な実体のある預金情報が入力されていますので、被告人が「虚偽の情報」を入力したとはいえない。これが結論です。
不正な、あるいは不当な送金が電子計算機使用詐欺罪になるわけではないのです。
今後の裁判の行方を注目したいと思います。
6/9(木) 2:14
全文はソースでご確認ください。
https://news.yahoo.co.jp/byline/sonodahisashi/20220609-00299979
引用元: ・【阿武町誤振込】刑法学者「電算機使用詐欺での起訴は無謀」 [生玉子★]
・銀行届出印はどうなっているのか
・謎のプログラムは本当に実在するのか
町長らの給与返納で誤魔化されてはいけない
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