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 6月3日は旧暦の5月5日、端午の節句だった。シンガポールでも中国の伝統にのっとりドラゴンボートレースが行われた。会場は、中心部から10キロメートルほど東にあるベドク貯水池。レースは3日間にわたって行われ、約3500人が参加したと報じられている。2日目に観戦に行ったが、夕方のまだ日の高い時間でとても暑かったせいもあってか、見物客はそれほど多くはなかった▼端午の節句が、詩人としても知られる屈原が入水自殺した命日だと知って、いささか驚いた。楚の国の宰相だった屈原は、その後中国を統一する秦の野心を嗅ぎ取り王に再三注意を促した。しかし聞き入れられず左遷された。結局、楚の首都は秦によって陥落し、祖国の将来に絶望した屈原は川に身を投げた。ドラゴンボートは彼を救おうと漁民たちがこぞって船を出したという故事に由来するらしい▼ドラゴンボートレースは中国本土でも開催されたようだ。人民網日本語版が、福建省廈門市で開催されたレースの様子を伝えてくれている。「大陸部や台湾地区から来た約1000人の選手が、ドラゴンボート41艘に分かれて、水しぶきを上げながら一生懸命にオールをこいでいた」という▼33年前の6月4日に天安門事件が起きた。その年の暦で端午の節句は8日。憂国の士は何を思ったか。(22・6・9)

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