ジャーナリストの鮫島浩さんは「これほど波風の立たない予算審議は異例だ。
批判をやめた野党の存在感は霞むばかりで、『自民一強』をお膳立てした。野党は参院選を前に自滅したといっていい」という――。
■岸田政権は支持率6割超で絶好調
岸田文雄内閣の支持率が絶好調で、参院選を目前に「自民一強」の様相である。
内閣支持率は、5月9日発表のNHKの世論調査では55%、5月23日発表の朝日新聞の世論調査では59%、6月5日発表の読売新聞の世論調査では64%だった。
しかも、いずれも前回調査より支持率が上がっている。
ロシアがウクライナへ軍事侵攻した後、自民党は日本の安全保障への不安を煽り、
憲法9条への自衛隊明記や緊急事態条項の創設を柱とする改憲論、さらには防衛費の大幅増額を声高に訴えた。今のところ世論はそれに賛同している。
野党(れいわ新選組をのぞく)は自公与党が主導した「ウクライナと共にある」という国会決議に同調し、
米国から巨大な軍事支援を受けて国民を総動員しながら戦争を遂行するゼレンスキー大統領の国会演説をスタンディングオベーションで称賛し、対露制裁を支持した。
この結果、自民党内で勢いづく改憲論や国防増強論に押し込まれ、対立軸を作れず、防戦一方だ。
本来はアベノミクスがもたらした貧富の格差拡大やウクライナ戦争が引き起こした物価高が参院選最大の争点となるはず。
そこへ光を当てれば野党は互角に闘えるに違いない。
ところが野党は自民党が仕掛ける改憲論や国防論の土俵に上がり、格差拡大や物価高を招いた自公政権の失政を覆い隠すのに一役買ってしまっている。
上級国民に対する庶民の怒りを結集した「上下対決」を避けるため、
憲法や安全保障といったイデオロギー的な「左右対決」に持ち込み、無党派層を白けさせて逃げ切るのは自民党の常套手段である。
このままでは国民の間に政治への無関心が広がり、参院選は投票率が伸び悩んで自民党圧勝である。
岸田内閣は盤石の体制となり、2025年までは衆参の国政選挙が予定されない「空白の3年間」に突入する。
自公政権はこの間、消費税増税や企業優遇税制など「庶民に厳しく、大企業に甘い」経済政策をやりたい放題になるだろう。
■立憲民主党は衆院選に続き、参院選でも惨敗か
野党がこの流れを変えるには、参院選にむけて主要争点をイデオロギー先行の安全保障から国民生活に直結した経済政策に取り戻すしかない。
そのためには格差拡大や物価高に対する自公政権の無為無策を徹底的に批判し、国民の怒りに火をつけなければならない。
ところが野党第1党の立憲民主党の腰が定まらない。
昨秋の衆院選で惨敗し創始者の枝野幸男代表が辞任。後継の泉健太代表は「野党は批判ばかり」との批判を恐れて「提案型野党」を掲げた。これが不発に終わった。
今年1月に開幕した通常国会は格差拡大や物価高が国民生活を直撃しているにもかかわらず与党ペースで淡々と進み、内閣支持率は上昇の一途をたどった。
立憲民主党は最大の対決法案とみられた経済安全保障推進法案にも安全保障論の高まりのなかであっさりと賛成したのである。
私は1999年に朝日新聞政治部に着任して以来、20年以上にわたって通常国会をウオッチしてきたが、
野党が当初予算審議で政権の失政やスキャンダルを激しく追及し、上半期の内閣支持率は下落傾向をたどるのが常だった。
今年ほど疑惑追及も対決法案もなく波静かに予算審議が終わり、内閣支持率が上昇していくのは極めて異例だ。
泉代表が掲げた「提案型野党」は自公政権を利し、野党の存在感は霞むばかりで、「自民一強」をお膳立てしてしまった。参院選を前に自滅したといってよい。
(全文はソースにて)
https://president.jp/articles/-/58363
引用元: ・支持率絶好調・岸田内閣をアシストする立憲民主党の惨状…「提案型」路線不発で参院選惨敗か [ボラえもん★]
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分裂して分散して共闘して裏切って最後にすり寄る
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