Appleは、6月6日(現地時間)より行われている開発者会議「WWDC 2022」において、Mac用OSの新バージョン「macOS Ventura」を発表した。
Apple : macOS Venturaプレビュー
macOS VenturaではMacでの生産性を高めるツールや連携強化が実施
13番目のmacOS は「Ventura」と名付けられた。「macOS Venturaは、Macの体験をさらに素晴らしいものにする、パワフルな機能と新しいイノベーションを備えています。ステージマネージャなどの新しいツールによって、タスクに集中したりアプリケーションとウインドウ間を移動するのがこれまで以上に簡単ですばやくなります。連係カメラは、デスクビュー、スタジオ照明などの新しいビデオ会議機能をすべてのMacに提供します。メッセージの便利な新機能、メールの最先端の検索テクノロジー、Spotlightの新しくなったデザインなど、Venturaは非常に多くのものを提供し、お客様がMacを使う多くの方法がより良いものになります」と、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント、クレイグ・フェデリギは述べている。
「ステージマネージャー」- 複数のアプリとウィンドウで作業する新しい方法
ステージマネージャは開いているアプリケーションとウインドウを自動的に整理して、ユーザーが作業に集中しながらも、一目ですべてのものを確認できるようにする新しい方法だ。ユーザーが作業している現在のウインドウは中央に目立つように表示され、ほかの開いているウインドウは左側に表示されるので、タスクをすばやく簡単に切り替えられる。ユーザーは、複数のアプリケーションを必要とする特定のタスクやプロジェクトで作業する際に、ウインドウをグループ化することもでき、さらに、ステージマネージャは、Mission ControlやSpacesなど、macOSのその他のウインドウ管理ツールと連係して機能し、ユーザーは1回クリックするだけで簡単に自分のデスクトップに移動できる。
「連係カメラ」でiPhoneがMacのWebカメラに
連係カメラでは、iPhoneをWebカメラとして使えるようになり、内蔵Webカメラや市販のWebカメラでは不可能だった機能が実現できる。パワフルな連係機能により、近くにiPhoneがある場合、iPhoneのスリープ解除や選択をしなくても、MacはiPhoneのカメラを自動的に認識して使うことができる。また、iPhoneがワイヤレスでMacに接続できるので少し離れた場所の撮影なども可能となり、柔軟性が向上する。連係カメラは、センターフレーム、ポートレートモード、背景を暗くしてユーザーの顔を美しく照らすエフェクトである新しいスタジオ照明など、革新的な機能をMacのFaceTimeで可能にする。さらに、連係カメラはiPhoneの超広角カメラを利用して、ユーザーの顔とデスクを上から見たところを同時に表示するデスクビューを実現する。YouTubeの開封動画などで見る俯瞰視点で手元を写す動画が簡単にできるようになる。
加えて、HandoffをFaceTimeでも使えるようになり、ユーザーは1台のAppleデバイスで開始したFaceTime通話を、近くにある別のAppleデバイスにシームレスに転送できる。ユーザーは、iPhoneやiPadでFaceTime通話をしてから、1回クリックするだけでMacにその通話を移動したり、Macで通話を開始し、外出しながら通話を続ける必要がある場合にiPhoneやiPadに切り替えたりできる。
主要なmacOSのアプリケーションと機能のアップデート
Safariにユーザーが一緒にブラウズするための新しい方法が導入される。共有タブグループを使うと、友達、家族、同僚がSafariで自分のお気に入りサイトを共有でき、ほかの人が今見ているタブを確認できる。ユーザーは、共有スタートページでブックマークのリストを作成したり、Safariからメッセージでの会話やFaceTime通話を開始することもできるので、一緒に旅行の計画を立てたり研究プロジェクトに取り組んだりすることに使える。
メールは、より関連性が高く、正確で完全な検索結果を提示する。ユーザーはクリックして検索に入るだけで、入力を始める前でも、最近のメール、連絡先、書類、写真など、探しているものをすばやく見つけることができるようになる。メールの送信を予約したり、送信を押した後すぐにメールの送信を取り消すことさえもできる。また、メッセージに添付ファイルやCCの受信者などの項目が不足していると、メールが賢く検出。メールで、ユーザーは特定の日時にメッセージを再確認するようリマインダーを設定でき、メールに返信がない場合にそのメールのフォローアップを行うよう、自動的な提案を受け取れる。
Macのメッセージに、最近送信したメッセージの編集や取り消しをしたり、メッセージを未開封にしたり、誤って削除したメッセージを復元したりできる機能が加わる。
また、新しい共同作業機能により、ほかの人との作業がすばやくシームレスになる。ユーザーが共有シートやドラッグ&ドロップを使ってメッセージでファイルを共有する際に、コピーを共有するか共同作業を行うかを選択できるようになる。共同作業を選択すると、メッセージのスレッドに含まれている全員が自動的に追加される。誰かが共有された書類で編集を行うと、スレッドの一番上にアクティビティの更新情報が表示される。ユーザーはMacのメッセージからすぐにSharePlayセッションに加わることもできるので、チャットをしたり同期された体験に参加したりできる。
Spotlight検索もアップデートが行われる。ナビゲーションがより簡単になる新しいデザイン、Appleデバイス全体でより一貫した体験を提供する新機能、ファイルをすばやくプレビューできるクイックルックが搭載される。ユーザーは、写真ライブラリ、システム全体、ウェブ上で画像を見つけられます。場所、人々、風景、被写体で写真を検索することもでき、「テキスト認識表示」により、画像の中のテキストを検索できる。生産性をさらに高めるため、ユーザーは、タイマーを開始する、新しい書類を作成する、ショートカットを実行するといった操作をSpotlightから行うことができつ。また、Spotlightの検索結果に、アーティスト、映画、俳優、テレビ番組、ビジネスやスポーツに関する豊富な情報が含まれる。
パスワードに頼らない新しいブラウジング「パスキー」
より安全で、使いやすく、パスワードに代わるものとして設計された次世代の認証情報であるパスキーにより、Safariでのブラウズがさらに安全になる。パスキーはデバイス上に保持される固有のデジタルキーであり、ウェブサーバ上には決して保存されないため、ハッカーが漏えいさせたりユーザーを騙して共有させたりすることはできない。パスキーは生体認証にTouch IDまたはFace IDを使用し、安全なサインインをシンプルにする。そしてiCloudキーチェーンを使ってエンドツーエンドの暗号化を行いながらMac、iPhone、iPadそしてApple TVの間で同期する。パスキーはアプリケーションとウェブ全体で機能し、ユーザーは他社製デバイスでも、iPhoneを使ってウェブサイトやアプリケーションにサインインできる。
Metal 3によるゲーム体験の向上
MetalFX Upscalingにより、デベロッパはより演算負荷の低いフレームを使用して複雑なシーンをすばやく描画してから、解像度スケーリングと時間的アンチエイリアシングを適用することで高画質を実現。これによってパフォーマンスが加速し、ゲームプレイヤーはより良い反応と驚くほど美しいグラフィックスを体験できる。また、Fast Resource Loading APIによって、ゲームデベロッパは、ストレージからGPUへのダイレクトパスを提供することですることで待機時間を最小限にすることが出来る。
AAAタイトルの移植も決まっており、EAの「GRID Legends」や、カプコンの「バイオハザード ヴィレッジ」の発売が予定されている。また、Hello Gamesの「No Man`s Sky」が2022年後半にリリース予定だ。
その他macOS Venturaの新機能
- AIを使ってシステム全体の画像の中のテキストを認識する「テキスト認識表示」が、一時停止したビデオフレーム内のテキストと、韓国語と日本語のテキストにも対応します。ユーザーは画像から対象物を抜き出して別のアプリケーションに配置することもできます。また、「画像を調べる」の認識機能は、動物、鳥、昆虫、彫像、その他のランドマークに拡張します。
- iPhoneの天気アプリケーションと時計アプリケーションが、ユーザーがよく知る人気のiPhoneの機能すべてを搭載してMac向けに最適化されました。
- 新しいアクセシビリティツールとして、すべての音声コンテンツのためのライブキャプション、VoiceOverユーザーが校正を行うのをサポートするテキストチェッカーなどが含まれます7。
- システム設定はシステム環境設定の新しい名前で、より操作しやすい新しいすっきりとしたデザインになり、iPhoneやiPadのユーザーはすぐに使いこなせます。
- 再起動しなくても簡単にセキュリティを最新の状態に維持する「スピーディーなセキュリティ対応」など、Macの攻撃への耐性をさらに高める新しいツールが搭載され、macOSのセキュリティがさらに強化されました。