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超人気ヤリスクロスがヴェゼルを上まわるポイントと残念なポイント

 2021年の国内車名別販売ランキングでは、ヤリスが1位になった。1ヵ月平均登録台数は1万7744台で、この台数には、コンパクトカーのヤリス、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスが含まれる。

 ヤリスクロスに限ると、1ヵ月平均登録台数が約8700台であった。ヤリス全体の約半数をヤリスクロスが占めており、SUVの販売1位になった。

 今は2021年9月に登場したカローラクロスも人気を集め、ライズもハイブリッドを加えて売れ行きを伸ばした。そこで改めて直近となる2022年4月の登録台数を見ると、ライズが6343台、ヤリスクロスは4100台、カローラクロスは3200台だ。

 ここでは長期間にわたって根強い人気を保つヤリスクロスについて、なぜこれほど人気なのか、ライバルであるヴェゼルと比較しながら考察してみよう。

文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、HONDA

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■ヤリスクロスを選ぶならどのグレード?

トヨタ ヤリスクロス(ハイブリッドG)。全長×全幅×全高=4180×1765×1590mm 価格:239万4000円

 ヤリスクロスのパワーユニットは、直列3気筒1.5Lノーマルエンジンと、ハイブリッドになる。最近の販売構成比は、ハイブリッドが81%を占める。

 グレードはハイブリッド、ノーマルエンジンともに、ベーシックなX、中級のG、上級のZを用意する。ノーマルエンジンには、Xよりもさらに価格の安いX・Bパッケージもあるが、衝突被害軽減ブレーキをオプションでも装着できない。レンタカーや法人の用途を想定したグレードだが、安全装備を省いたから推奨できない。

 ヤリスクロスを購入するならGかZだ。Gには16インチアルミホイールが標準装着され、オプションにより18インチに上級化できる。シート生地も上質なファブリックで、8インチのディスプレイオーディオも標準装着した。

 Zにグレードアップすると、フルLEDヘッドランプ、18インチアルミホイール、運転席の電動調節機能などが標準装着され、シート生地も合成皮革を使う上級仕様になる。

 そしてヤリスクロスは、残価設定ローンを利用すると、月々の返済額をほかの車種以上に安く抑えられる。

トヨタ ヤリスクロス(ハイブリッドZ)。全長×全幅×全高=4180×1765×1590mm 価格:258万4000円

 例えばヤリスクロスハイブリッドZ・2WDの価格は258万4000円だ。コンパクトカーのヤリスハイブリッドZ・2WDは232万4000円だが、アルミホイールは、ヤリスクロスハイブリッドZと違ってメーカーオプションになる。

 そこでヤリスハイブリッドZに、16インチアルミホイールを加えると、合計額は240万6500円だ。つまりヤリスハイブリッドZにアルミホイールをオプションで加えても、その価格はヤリスクロスハイブリッドZの258万4000円に比べて17万7500円安い。

 ところが3年間の残価設定ローンを均等払いで組むと、月々の返済額は、ヤリスクロスハイブリッドZが4万6900円なのに、ヤリスハイブリッドZは5万1400円と高くなってしまう。

 言い換えればヤリスクロスハイブリッドZは、価格がヤリスハイブリッドZよりも17万7500円高いのに、月々の返済額は、逆に4500円安くなるのだ。

 この逆転現象が生じた理由は、ヤリスクロスハイブリッドZの3年後の残価(残存価値)が、新車価格の52%に達するからだ。逆にヤリスハイブリッドZは、アルミホイールを加えると、3年後の残価が新車価格の40%に留まってしまう。

 残価設定ローンでは、数年後の残価を除いた金額をローンで返済するため、残価が52%のヤリスクロスハイブリッドZは、単純にいえば3年間で48%を返済すれば良い。対するヤリスハイブリッドZは残価が40%だから、3年間で60%を返済せねばならない。そこで月々の返済額がヤリスクロスを上まわった。

 最終的に残価を支払って車両を買い取る場合は、ヤリスクロスZでは52%、ヤリスは40%を支払うことになるから、両車の損得の違いは単純にいえば解消する。

 しかし車両を返却するなら残価は支払わない。月々の返済額だけなので、ヤリスクロスハイブリッドZを選ぶと、ヤリスハイブリッドZよりも高いクルマに乗りながら、出費を安く抑えられる。

 販売店によると「今は約50%のお客様が残価設定ローンを利用する」というから、残価設定ローンの返済額を安く抑えられるヤリスクロスは、ユーザーにとって魅力が強い。

 しかもヤリスクロスは、ヤリスに比べると外観の見栄えが立派で後席も若干広いから、実用性も優れている。そのヤリスクロスをヤリスよりも安く使えるのだから、残価設定ローンは販売促進の効果も大きい。

 そしてヤリスクロスの残価が高まり、月々の返済額を抑えられる理由は、人気のコンパクトSUVとあって中古車も高値で売却できるからだ。コンパクトカーのヤリスに比べて価値が下がりにくいため、残価も増えて、返済額が安くなった。

■ライバルのホンダ ヴェゼルと比較する

ホンダ ヴェゼル(e:HEV X)。全長×全幅×全高=4330×1790×1580mm 価格:265万8700円

 それならヤリスクロスのライバル車となるヴェゼルはどうか。ヴェゼルe:HEV・X・2WDの価格は265万8700円だ。ヤリスクロスハイブリッドZ・2WDの258万4000円に比べて約7万円高いが、おおむね同程度と考えられる。

 そこでヴェゼルe:HEV・X・2WDで3年間均等払いの残価設定ローンを組むと、月々の返済額は4万5500円になる。ヤリスクロスハイブリッドZ・2WDは4万6900円だから、ヴェゼルe:HEV・X・2WDは、価格が約7万円高いのに、月々の返済額は1400円少ない。

 価格と残価設定ローンの返済額が逆転した理由は、トヨタの残価設定がローン金利を年率6.8%で計算するのに対して、ホンダは3.5%と低いからだ。またヴェゼルの3年後の残価も新車価格の53%で、ヤリスクロスよりも1%高く、有利な条件が重なった。

トヨタ ヤリスクロス インテリア
ホンダ ヴェゼル インテリア

 そこでヤリスクロスハイブリッドZ・2WDと、ほぼ同じ価格のヴェゼルe:HEV・X・2WDを比較する。まず車内の質感はヴェゼルが優れている。インパネ周辺を上質に造り込み、シートの座り心地もヴェゼルが快適だ。

 車内の広さもヴェゼルの圧勝だ。身長170cmの大人4名が乗車した場合、後席に座る乗員の膝先空間は、ヤリスクロスは握りコブシ1つ半だがヴェゼルは2つ半に達する。ヤリスクロスに4名で乗車すると、後席は窮屈に感じるが、ヴェゼルはゆったりと座れて快適だ。

 後席を使っている時の荷室長(荷室の奥行寸法)は、あまり差が付かない。ヴェゼルの荷室は広そうに思えるが、後席の取り付け位置を後方に寄せて足元空間を広げたから、荷室長が影響を受けて短くなった。

 それでもヴェゼルは燃料タンクを前席の下に搭載して荷室の床を下げたから、全高はヤリスクロスと同じ1590mmなのに、荷室高はヴェゼルに余裕がある。

 ヴェゼルはシートアレンジも豊富で、後席の座面を持ち上げると、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。質感、居住性、荷室の使い勝手はヴェゼルが優れている。

 動力性能は、ヤリスクロスとヴェゼルでは性格が異なる。売れ筋になるハイブリッドの場合、ヤリスクロスハイブリッドZ・2WDの車両重量が1190kgに収まることもあり、1350kgのヴェゼルe:HEV・X・2WDに比べて加速が軽快だ。

 その代わりヴェゼルのe:HEVが採用する1.5Lエンジンは直列4気筒だから、3気筒のヤリスクロスに比べてノイズが小さい。e:HEVではエンジンは発電に使われ、駆動は主にモーターが担当するから、走りも滑らかだ。

 同様のことが操舵感や走行安定性にも当てはまり、ボディの軽いヤリスクロスは、峠道などを走った時に車両の向きを変えやすい。乗り心地は逆にヴェゼルが柔軟で快適だ。

 装備は、価格の近いヤリスクロスハイブリッドZ・2WD(258万4000円)とヴェゼルe:HEV・X・2WD(265万8700円)で比べると、前者が充実する。

 ヤリスクロスハイブリッドZ・2WDは、運転席の電動調節機能、8インチディスプレイオーディオ、専用通信機能など、ヴェゼルe:HEV・X・2WDが装着しない装備を採用している。

 アルミホイールのサイズも、ヴェゼルe:HEV・X・2WDは16インチだが、ヤリスクロスハイブリッドZ・2WDは18インチだ。シート生地もヤリスクロスが上質になる。

トヨタ ヤリスクロス インパネ
ホンダ ヴェゼル インパネ

 以上のように両車を比べると、内外装の造り、居住空間の広さ、荷室の使い勝手、乗り心地、静粛性などは、ボディがひとまわり大きなヴェゼルが優れる。装備については、同じ価格で比べるとヤリスクロスが充実しており、ボディがコンパクトで軽いために運転感覚も軽快だ。

 総合的に判断すると、基本性能の優れたヴェゼルの魅力が強い。特にファミリーユーザーにとって、ミドルサイズSUV並みに広いヴェゼルの車内は魅力だ。

 注意したいのは納期で、販売店によるとヤリスクロスは「ノーマルエンジン、ハイブリッドともに半年以上を要する」という。

 ヴェゼルは「売れ筋になるe:HEVのXやZは、短くて半年、長ければ1年かかる。またe:HEV・PLaYは、納期がさらに長いから今は受注を中断している」という。商談はなるべく早めに始めたい。

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