TV報道やネットなどで問題視されるようになっても、いまだに「あおり運転」は横行し、自衛手段としてドラレコをつける人も続々と増えている。こんな時代になってしまったからこそ、自分こそはイライラせずに平常心でのんびり走りたいもの。
そこで本稿では、イライラしない(イライラ場面に遭遇しない)走り方や、日々の過ごし方について考えてみよう。
文/フォッケウルフ
写真/フォッケウルフ
■多くの人がハマりやすいイライラの原因とは?
短気を起こすと結局は自分が損をする。いわゆる「短気は損気」ということわざの通り、怒りにかられて行動することは百害あって一利なしだ。クルマで走行中ならなおのこと、状況にすぐ腹を立てたりイライラするのは、集中力や判断力の低下につながり、最悪の場合は事故を起こしてしまう可能性も大いにある。
運転中にイラッとする原因を考えてみると、たとえば前のクルマが遅いとか、無理な割り込みをされた、速度が一定じゃない、なんでもないところでブレーキを多用するなどなど、枚挙に暇なし。いずれにしても「自分の思いどおりに運転できない」ことが、ストレスとかイライラの要因となるわけだ。
他者の行動にイライラを募らせ、さらに「自分はちゃんと運転しているのに!」という少々自己中な正義感が加わると、怒りの感情が喚起される。
すると脳内にはノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌される。ノルアドレナリンとは危険を察知し、集中力を高めるという効果をもたらすそうだが、同時に自律神経の交感神経を働かせ、身体を臨戦態勢にするという。結果として怒りの矛先が他者に向き、攻撃=あおり運転へと発展していく可能性があるわけだ。
多くの場合、怒りに変わる前に理性が働いて即攻撃態勢に移ることはないし、今どきは、広く普及したドライブレコーダーが効果的な抑止力になって、むやみやたらに他人に攻撃を仕掛ける人は減っている(はず)。
しかし、怒りを抑えたとしても少々のイライラは残るものだ。だからこそ、イライラが再び怒りへと変わる前に、イライラを少しでも解消するための心構えや対処法について考えてみよう。
■環境を整えて感情をコントロールする
よく言われているのは「冷静になって~」というものだが、運転という緊張が続くなかで他人に邪魔をされたことに対して、平常心を維持するのはじつに難しい。自分が置かれている状況を冷静に客観視して……なんて、無理なことを考えるくらいなら、イライラさせられるような状況から脱して、イライラさせられない環境に身を置くことを優先するほうがポジティブではないだろうか。
交通の流れに合わせずにゆっくり走っているドライバーは、そもそも空気が読めていない人だから、そんな車の後ろについた時には、車間を詰めるのではなく、少し離れて走ればいい。
たとえあなたの運転スキルが高いとしても、他人にそれと同じレベルを求めるのはナンセンスなことなのだ。運転がうまいからといってあおり運転まがいのことをしてマウントをとるよりも、運転がうまいがゆえの余裕の心でマウントをとるようにしたいものだ。
公道にはいろいろな人とクルマがいて、状況は刻一刻変わっているわけで、イライラする要因はそこかしこにあって、どうしても避けがたいときもあるだろう。それらに対して律儀に反応していたら、とてもじゃないが精神が持たないので、気持ちをコントロールする術を覚えておきたい。
ドライブ時のイライラを抑えるために試してほしいのが、近年、企業や学校、行政機関などからも注目され幅広く取り入れられている「アンガーマネジメント」だ。アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングのこと。決して怒らなくなるわけではないが、イラっとする状況に直面したときに落ち着きを取り戻すことができるようになる。
●あおり運転の加害者にならないための「アンガーマネジメント法」
■事前にできる「イライラしない」ための準備とは?
そもそもクルマに乗り込んだ時から、イライラしないよう準備しておくことも重要だ。とにかく、ストレスを溜めないこと。そのためには、たとえば「時間に余裕をもったドライブプランを立てる」とか、「交通状況を把握しておく」といったことを実施したい。
さらに、車内では「好きな音楽をかける」「快適性を高めるグッズを備える」といったことをプラスするのも手だ。自分の好きな物に囲まれていると嫌な気持ちにはならないし、こうして環境を整えておけば、たとえば快適グッズを目にしたときに「なぜ、これを装備したか=イライラしないためだ!」という戒めにもなるはずだ。また、ガムやアメなど、甘いものを摂取するのも心を落ち着かせる効果があると言われている。
車内に用意しておきたいグッズとしては、以下のようなものが挙げられる。
・シートクッション、メッシュシート
適切な着座姿勢をとることで、運転時の疲労を軽減。身体への負荷や背中、腰まわりの不快感を抑えられる。
・サンバイザー
眩しさを抑えて良好な運転視界を確保できる。純正のサンバイザーではフォローできない領域までカバーできる。
・車載用空気清浄機
窓を開けて喚起するのも有効だが、外気温が高いときなどは暑さがイライラを募らせる。空気清浄機があれば窓を開けずに車内の空気をキレイにできる。
・車載用アロマディフューザー
アロマディフューザーには空気清浄機や加湿器としての機能を持つ製品もあるので車内環境の快適性を高める効果は大いに得られる
・ワイドルームミラー
自己中な運転にならないよう、自車の周辺状況をしっかりと把握することも重要なポイント。視野角の広いミラーなら安全運転にも効果あり。
イライラするのはやむを得ない、人間だもの。だから「イライラしない」ではなく、「イライラをうまくコントロールしていくこと」が肝要だ。そのためには、イライラする場面に遭遇したら、まずは、アンガーマネジメントを実践したうえで、
●深呼吸をする
●とにかく6秒待つ
●見えるところに置いた家族の写真などを見る
●気持ちが落ち着く言葉を自分に言い聞かせる
さらに、
●公道は「自分だけの道ではない」と考える
●車内に好きな香りを漂わせておく
●お気に入りの音楽をかけるまたは歌う
●甘いものを食す
といったことも試してみよう。そうこうしているうちに、イライラの原因が忘れられるか、あなたから離れていることだろう。
運転中にイラついてもいいことはなにもないし、イライラを相手にぶつけるのも理不尽だ。相手の行動にいちいち反応せず、自分の運転技量を相手に求めない。そして、感情を落ち着かせて気持ちを切り替える。
なにより、あおり運転が厳罰化された現在では、他人をあおって危険な目に遭わせることは「命に関わる犯罪」であるということをしっかりと認識しておく。これがどんな状況においても、イライラを制御するために有効な手段なのではないだろうか。
【画像ギャラリー】運転時のイライラ解消法を写真で見る!(5枚)画像ギャラリー投稿 あおり運転なんて損しかない!! こんな時代だから考えたい! 運転時のイライラ解消法 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。