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<p>中傷投稿への「いいね」やリツイート、賠償求める訴訟相次ぐ…「賛同か」で判断分かれる – ライブドアニュース</p><p>【争点は】中傷投稿への「いいね」やリツイート、賠償求める訴訟相次ぐ…「賛同か」で判断分かれる ネット上の誹謗中傷が社会問題化する中、SNSへの投稿に「いいね」を付けたり、リツイートしたりする行為について、裁判で責任が争われるケースが相次いでいる。</p><p>インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷が社会問題化する中、SNSへの投稿に「いいね」を付けたり、リツイート(転載)したりする行為について、裁判で責任が争われるケースが相次いでいる。ワンクリックで手軽に</p><p>インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷が社会問題化する中、SNSへの投稿に「いいね」を付けたり、リツイート(転載)したりする行為について、裁判で責任が争われるケースが相次いでいる。 ワンクリックで手軽にでき、利用者同士をつなげる便利な機能だが、中には賠償を命じた判決もあり、専門家は注意が必要だと指摘している。(福益博子) ■ブックマーク 「必ずしも投稿に好意的・肯定的な感情を示したものだとはいえない」。ジャーナリストの伊藤詩織さん(33)が自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(55)に220万円の損害賠償を求めた裁判の判決。東京地裁は今年3月、そう指摘して請求を棄却した。 問題となったのは、元TBS記者から性的被害を受けたと訴えている伊藤さんを批判する投稿に、「いいね」を付けた行為。そのうちの一人が杉田氏だった。 ツイッターの「いいね」は、投稿の下に表示されたハートマークをクリックすれば、マークの右側に押した人数が表示される。その意味を巡って、伊藤さん側が「投稿を肯定するために使われており、自尊心を傷つけられた」と主張したのに対し、杉田氏側は「ブックマーク機能として使われることも多く、肯定の意味を示すとは受け止められていない」と反論していた。 判決は「『いいね』は好意や肯定の感情を示すために使われることが多いものの、ブックマークなどの目的でも用いられ、多くの意味を持つ行為だ」と指摘。クリックをしても、原則として違法な行為と評価することはできないと判断した。 判決後、杉田氏は「妥当な判決」とコメント。伊藤さんは「これが許されれば簡単に個人の尊厳を傷つけることができる」として東京高裁に控訴しており、改めて是非が争われる。 ■名誉毀損を認定 SNSには投稿を転載する機能もある。代表例がツイッターの「リツイート」で、「いいね」と同じように指一本でできるが、名誉毀損(きそん)などを認定する判決が出ている。 橋下徹・元大阪府知事が「府の幹部たちに生意気な口をきき、自殺に追い込んだ」とする投稿をリツイートしたフリー記者に損害賠償を求めた訴訟で、2019年9月の大阪地裁判決は「元の投稿に賛同する意思を示したと理解するのが相当だ」と指摘。「リツイートした者も元の投稿の内容に責任を負う」として33万円の賠償を命じた。 20年6月の2審・大阪高裁判決は1審判決を支持した上で、「リツイートという容易な操作で投稿が短期間に際限なく拡散される危険性がある」と指摘した。東京地裁が14年と15年に言い渡した2件の判決でも「リツイートは、自身の発言と同様に扱われる」との判断を示している。 「いいね」と「リツイート」で判断が分かれたのはなぜか。 あるベテラン裁判官は「投稿に賛同する意思があったと客観的に捉えられるかどうかがポイントだ」と分析。「リツイートは『他人にも見てほしいと賛同したからこそ、拡散した』とみなされやすい。一方、『いいね』をクリックしただけで賛同したと評価するのは難しいが、賛同の意思を客観的に証明できる証拠があれば、賠償が認められる可能性はある」と話す。 ◇ ■被害相談 10年で4倍 インターネット上の中傷は、投稿を容易に拡散させることのできるSNSの普及などにより、被害相談が増えている。 総務省の「違法・有害情報相談センター」には2021年度、6329件の相談が寄せられた。10年前の4倍以上で、約4割が名誉毀損に関する相談だという。 ネット接続業者が加盟する「日本インターネットプロバイダー協会」によると、中傷などを理由にした投稿者情報の開示請求が毎年1・5~2倍のペースで増加。担当者は「爆発的な増加で対応が追いつかない」と明かす。 茨城県の常磐道で19年8月、あおり運転した男が逮捕された事件では、無関係の女性を「車に同乗していた」と名指しするデマがリツイートなどで一気に拡散。デマを信じ、女性を中傷する投稿がSNSにあふれた。 女性は複数の投稿者を提訴し、賠償を命じる判決が相次ぐ。ネットの中傷対策に詳しい中沢佑一弁護士は「SNSによって新たな中傷被害が生じている。節度をもって利用するべきだ」と指摘している。</p>