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ベンツ BMW アウディ ヒョンデ… 日本勢、はっきり言って勝てるのか?? 輸入EVの実力を一斉チェック!!

 EVのラインナップでは日本勢を一歩リードする輸入車メーカー勢。輸入EVの実力は果たしてどれほどのものなのか? 毎年恒例、JAIA(日本自動車輸入組合)の試乗会で自動車評論家 松田秀士が一斉チェック! さらに国沢光宏氏による韓国ヒョンデのEV&FCV試乗レポートも掲載!!

※本稿は2022年2月のものです
文/松田秀士、国沢光宏、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2022年3月26日号

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■メルセデス・ベンツ EQA

メルセデス・ベンツEQA:640万円~(購入補助金 60万円)

 EQAのフロントフェイスは、樹脂製のパネルでのっぺりとしたグリルが特徴的。BEVだから冷却系のために大きな開口を持たなくてもよいからか、空力重視に設計されているのだろう。

 その空力を象徴するかのようなデザインが、無数にも見えるスポーク状のアルミホイール。回転することで低速でもスポークが面になり空気抵抗が減る。航続距離は66.5kWhのリチウムバッテリーによって約410km(WLTC)。

 モーターパワーは140kW/37.7kgmで0〜100km/h加速は8.9秒というだけあって瞬発力はなかなか力強いFFだ。

 乗り心地の快適さもメルセデスならでは。EQAはEV専用モデルではなくGLAからの派生モデル。そのためインテリアはGLAのSUVらしいファッショナブルさを取り入れた楽しさ満載のデザイン。タッチ式10.25インチ液晶ディスプレイも印象的だ。

■BMW iX

BMW iX:1070万円~(購入補助金 60万円)

 同じBEVでもBMW iXは宇宙人のようなフロントマスク。BMWの象徴でもあるキドニーグリルは近くに寄ってよーく眺めると樹脂製のパネルにプリントしただけ。

 ボディと段差のないサーフェースなドアハンドルを開くと現われるサイドシルはカーボン製。テールゲートもカーボンだ。ほかにもボディを構成するマテリアルに高張力鋼板やアルミ材がふんだんに採用され、前後荷重配分50:50に仕立てられている。

 インテリアは助手席にまでおよぶ横長でメーターパネル(12.3インチ)と一体化したタッチ式曲面液晶パネル(14.9インチ)により、目的のコンテンツに素早くアクセス。これによって多くのスイッチ類が省略されている。

 上級モデルのの0〜100km/h加速は4.6秒。後輪操舵も行う優れもの。ホイールベースは3000mmと超ロングだが狭い道での取り回しも苦にならなかった。

■シトロエン E-C4

シトロエン E-C4:465万円~(購入補助金 60万円)

 BEVといえばパフォーマンス重視の瞬発力が魅力だが、こちらは相反するモデルだ。シトロエンらしい気品の漂うエクステリアデザイン。50kWhのリチウムイオンバッテリーを床下に搭載することで、ラゲッジスペースはかなり広い。

 モーターパワーは100kW/26.5kgmとそれほどパワフルではないが、航続距離は405km(WLTC)と長いのだ。

 走り始めるとサスペンションのしなやかさに感心する。よき時代のシトロエンのストローク感が蘇っているかのよう。ショックアブソーバー内にセカンダリーダンパーを組み込むことでこのコンフォートな乗り味を演出している。

 エコ・ノーマル・スポーツ3つのドライブモードを持ち、スポーツはアクセルレスポンスにダイレクトに反応。ノーマルはこのモデルのサスペンションフィールに最もマッチしたパワーレベル。運転のしやすさが魅力だ。

■アウディ e-tron GT

アウディ e-tron GT:1399万円~(購入補助金 60万円)

 アウディe-tron GTは低く美しいシルエット。

 BEVといえばSUV系の少し高さのあるモデルが多いなか、e-tron GTはロー&ワイド。しかも後部座席のスペースも快適に確保されている。これは床下に配置されるバッテリーパックの形状を効率的に設計しているから。実はポルシェ・タイカンと基本コンポーネントを共有している。

 搭載されるリチウムイオン電池は93.4kWhと大容量で約800Vもの高電圧で前後に配置したモーターを駆動する4WD。高電圧にすることで電流量を下げることができ、発熱を下げられるのとハーネスを細くすることが可能になるため軽量化につながるのだ。

 乗り心地もよく、いざという時アクセルを踏み込めば胸のすくような加速が約束される。インテリアの質感も新しさのある高級感。そのくせ操作系はほかのアウディモデルと共通なので、乗り換えても戸惑うことはないだろう。

■ポルシェ タイカン

ポルシェ タイカン:1203万円~(購入補助金 60万円)

 シトロエンに比べて圧倒的パフォーマーのポルシェ・タイカン。そのラインナップのなかでもクロスツーリスモは特異な存在といえる。

 デフォルトでベースモデルのタイカンよりも20mm高い車高。オプションのオフロードデザインパッケージを追加すると30mmまで高められる。エアサスを装備しているのでドライブモードによって車高を上げることが可能なのだ。

 特徴的なリアデザインはクロスオーバーとして主張するセクション。上げられた車高とマッチする個性的なフォルムを演出している。

 インテリアで特徴的なのは固定式パノラマガラスルーフ。2列目シートより後ろまで広がる青空だ。さらにオプションだがリアバンパーにバイクキャリア(3台まで)を取り付けることもでき、遊び心をくすぐる。バッテリー容量は93.4kWhで航続距離は360km(WLTC)だ。

(ここまでのTEXT/松田秀士)

■EVの補助金いくらになる?

 EVの補助金は、経産省の「(1)クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」と「(2)地方自治体による補助金」のふたつがあり同時に利用できる。

 (1)は、外部給電器やV2H充放電設備を経由または車載コンセント(1500W/AC100V)から電力を取り出せる車両に上限80万円、ない場合は上限60万円を支給する制度。バッテリー容量によって補助金額が違うので、下記QRコードより対象車両の補助金額がいくらかチェックしてほしい。

 (2)は地方自治体によって制度の有無、補助金の額が違うので、これも下記QRコードよりお住まいの自治体の制度をチェックしてほしい。地元のディーラーに聞いてみてもいいだろう。

 例えば東京都の令和3年度ZEV補助金だが、通常は1台あたり45万円。「(1)の対象車両であること」「再生エネルギー100%電力の導入」を満たせば最高60万円の補助金を受け取れる。国の補助金と合わせると最大140万円にもなるぞ。

(TEXT/編集部)

■日本再参入のヒョンデEVを国沢光宏がチェック! 「日本メーカーは危機感を持て」

ヒョンデIONIQ 5。試乗車は後輪駆動ベースの4WD。踏むと気持ちよ〜く曲がる!!

 ある程度はわかっていたけれど、実車を見てハンドル握って走り出したら「こりゃマズいぞ」。

 日本人だと韓国車だというだけでショッピングリストに載せないだろうけれど、アメリカに住んでいるアメリカ人や、欧州に住んでいる欧州人なら、この価格帯の電気自動車を買おうと考えた場合、最有力候補になるほど魅力的だったからだ。

 ちなみに競合車は日本勢だとbZ4X、ソルテラ、ARIYA。海外勢ならテスラ・モデル3やVWのID.4といった主力車種です。

 そもそも圧倒的にお金がかかっている。ヘッドライト回りひとつ取ってみても、驚くほど精密に加工されたLEDの多灯式で、灯体の内側に模様を入れ、しかもバンパー上面が発光するというメチャクチャ凝った作り!

 タイヤは内側に吸音材が入っているミシュランのパイロットスポーツEV(このタイヤ、高いです)。インテリアだってアウディと比べたってまったく遜色のない質感を持つ。エクステリアデザイン、写真で見るよりずっと魅力的だ。

 前置きはこのあたりにして試乗といきましょう。

 プッシュボタンで起動。Dレンジをセレクトし走り出す。電気自動車で一番難しい「走り出し時のスムーズさ」についちゃ文句なし。コギング(模型用モーターを手で回すとクリック感あると思う。電気自動車でこれを完全に消す技術は難しい)だって感じない。

 試乗車は305psのAWDとなり、0〜100km/h加速5.2秒という性能の持ち主。動力性能は公道だと使い切れないレベルですね。

 興味深いのは後輪駆動ベースという点である。「走りの楽しさを追求したかった」そうな。コーナーでアクセル踏むと、後輪から駆動力を立ち上げる。クルマの基本構造からして重い電池をホイールベースの間の低い位置に積み、前後の重量配分が極めてよい。

 そのうえで後輪から駆動力を立ち上げているものだから、アクセル踏むと気持ちよ〜く曲がっていく。考えてみたらヒョンデ(韓国での発音とのこと)もWRCに参戦しており、ノウハウを持っている。

 書き遅れたがアイオニック5の開発は欧州ベース。デザインも欧州。日本車より欧州の技術がたっぷり入っているんだと思う。

 例えば先行車がいなければコースティング(電車のような空走)、先行車がいれば、回生させ車間距離をキープするBMWやアウディと同じ制御を入れている。電気自動車は電費も伸びるし、運転が楽です。

 驚いたことにブレーキシステムも、トヨタと同じ100%ブレーキバイワイヤ(日産やホンダも未採用)としているそうな。

 足回りだっていい。欧州のノウハウを使っている現代モービスのダンパーは滑らかに動くし、ステアリングフィール素敵と思ったら、アウトランダーPHEVやレヴォーグのようにWピニオンのステアリング(モーターがラックに直接付いている)という。

 もうすべての点で「凄いね!」の連続だったりする。遠からずカーシェアの『エニカ』で誰でも乗れるようになるというから、ぜひとも乗って驚いてほしい。

(TEXT/国沢光宏)

■MIRAIより売れている? FCVのNEXOもチェック!!

SUVスタイルのFCVとして登場したNEXO

 ヒョンデが日本再上陸するにあたり打ち出してきたのが「環境自動車をメインにしていく」という作戦だ。

 だからこそスタートアップのモデルバリエーションは、最新の電気自動車である『アイオニック5』と、MIRAIの航続距離850kmに迫る820kmを持つ燃料電池車『ネッソ』(ベストカーではすでにネッソの試乗レポートを掲載ずみ)の2車種のみ。改めてネッソの紹介をしておきたい。

 MIRAIと違うのは人気のSUVボディを選んだこと。狙いが当たったらしく、世界販売台数を見るとMIRAIより好調に思える。スタック出力129ps(MIRAIは174ps)。車重1870kg(同1920kg)で案外軽く、163ps(同182ps)のモーターで走らせます。

 絶対的な動力性能は標準的なガソリンエンジン積んだSUVと同じくらいをイメージすれば間違いないだろう。

 先代MIRAIと新型MIRAIの中間くらいの時期に出てきた燃料電池車として評価すると「大変よくできました」。燃料電池の稼働音は静か。SUVという不利さのためか乗り心地が少しゴツゴツするのを除けば快適です。

 補助金も全額(国から250万円。東京都だと別ワクで135万円。合計385万円)出る。400万円を切る金額になる。韓国というだけで敬遠する人もいるだろうけれど、クルマに罪はないです。

(TEXT/国沢光宏)

■ヒョンデが計画する販売戦略

 日本再参入にあたって、ヒョンデは売り方をしっかり考えてきたようだ。

 DeNAが運営するカーシェアサービス「エニカ」と連携。IONIQ 5を100台、NEXOを20台導入し、多くの人に体験してもらえるようにする。

 IONIQ 5を購入してエニカに登録し、自分のIONIQ 5に乗った客がIONIQ 5を買うと、自分と客の双方にインセンティブが入るプログラムも展開予定。サブスクプランも展開する。

(TEXT/ベストカー編集部)

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