5月12日から3日間、いよいよ日本最大のトラック関連の展示会「ジャパントラックショー2022」がパシフィコ横浜で開催される。
コロナ禍で2020年の開催は中止、今回も開催直前で日野自動車が出展を辞退するなど、開催までの道のりは平坦ではなかったが、最終的に前回の2018年を上回る143社520小間の出展が決定!
主催の社団法人国際物流総合研究所も来場者誘致に全力投球! 4年ぶりの開催となる「ジャパントラックショー」の盛会に自信を見せている。
そんな開催直前の「ジャパントラックショー2022」の見どころは何か? 各トラックメーカーの出展を中心にご紹介しよう。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部 写真/各トラックメーカー
EV、LNG、FCV、次世代に向けて多様な取り組みを見せるいすゞ自動車の出展
いすゞ自動車の出展は多彩である。小型トラック、中型トラック、大型トラックを実車展示するのだが、そのパワーソースが全部異なるのだ。
まず、小型トラックは「エルフEVモニター車」を実車展示。いすゞは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、小型トラック「エルフ」をベースとした「エルフEV」モニターを2019年から実施。
今回出品されるのは、オーソドックスなスタイルの冷凍バン仕様のエルフEVだが、いすゞには、エルフEVウォークスルーバンもあり、こちらもモニター運行を実施している。いすゞは2022年度中にEV量産開始に向け、現在開発を進めているという。
いっぽうディーゼルエンジンを搭載する中型トラック「フォワード」は、平成27年度燃費基準+10%を達成し、高い燃費性能を実現したもの。
車線逸脱警報(LDWS)プリクラッシュブレーキ(衝突回避支援/衝突被害軽減)、全車速ミリ波車間クルーズ、交差点警報、ミリ波車間ウォーニング、電子式車両制御システム(IESC)などの先進安全装備を搭載し、さらにハイルーフキャビンの採用で、クラストップの収納量と開放的な室内空間を実現している。
また、大型トラックの「ギガLNG車」も実車展示される。ディーゼル車と比較して都市間輸送時のCO2排出量を約10%削減し、環境負荷低減に貢献する車両だ。
LNGは液体燃料であるため、ディーゼル車とほぼ同等の時間での充填が可能。燃料の搭載効率も良いことから、1充填あたり1000km超の航続距離を実現。いすゞは、優れた環境性能を持つ「ギガLNG車」を、カーボンニュートラル社会への移行期における選択肢の一つと考えている。
では、その移行期の次は何か? それがパネルや動画展示の「大型FCVの取り組み」だ。
いすゞは、2020年から、本田技術研究所と燃料電池(FC)をパワートレインに採用した大型トラックの共同開発を進めている。2022年度中にモニター車による実証実験を実施。大型トラックに必要な技術課題の見極めを進め、社会実装を目指した検証を進めていくとしている。
さらに大型トラックの「輸送効率化の取り組み」もパネル展示される。
大型トラック「ギガ」のフルトラクタ専用車型をベースとしたダブル連結トラックは、ドライバー1名で大型トラック2台分の輸送を可能とし、省人化と環境負荷の軽減に貢献するもの。
このほか【MIMAMORIスマホアプリ】や【稼働サポート/PREISM】なども展示するという。
電動化や先進安全性の次世代技術が際立つ三菱ふそうの出展
三菱ふそうトラック・バスは「Driving The Future Together」をテーマに、より良いモビリティの未来をサポートするFUSOブランドの車両3台を展示。同時に、テレマティクスサービス「トラックコネクト(Truckonnect®)」、ならびに三菱ふそうが日本で販売する米Wise Systems社開発の配送計画システム「ワイズ・システムズ」についても、同社ブース内で紹介する。
小型トラック「キャンター」は、最高水準の安全機能を備えてより安全に、小型物流のパートナーとして信頼されるFUSOの伝説的な小型トラックだ。
また、電気小型トラック「eキャンター」は、騒音が少なく、CO2を含む排出ガスを一切出さないクリーンでより環境に優しい、未来のモビリティ・ソリューションに向けた車両である。
先ごろ同社の喜連川研究所で一部公開された次世代eキャンターではないが、量産型EVトラックとして、すでに全世界で350台・450万kmの走行実績がある先駆車だ。
さらに大型トラック「スーパーグレート」も実車展示。
「スーバーグレート」は、2019年秋に運転自動化レベル2の高度運転支援機能「ADA」を搭載したのを皮切りに、ドライバーの異常時対応システム「エマージェンシー・ストップ・アシスト」(ESA)をADAの機能に追加。
さらに衝突被害軽減ブレーキの機能を大型車の視覚になりやすい左折時にも追加。同機能は従来より備わる左折時の巻き込み防止の警告・警報を行なう「アクティブ・サイドガード・アシスト」(ASGA)に内包し、「ASGA1.0」へバージョンアップを果たしている。
これらの先進安全性をはじめ、経済性、高度運転支援技術、およびコネクティビティ機能を備え、よりスマートな大型トラックの姿を見せるのがスーパーグレートのセールスポイントだ。
そのコネクティビティといえば、トラックコネクト。これは稼働中のリアルタイムなトラックの情報をユーザーのPC端末でチェックできるサービスである。
車両の現在位置・稼働経路、そして万が一の車両の故障時などのトラブルを確認できるとともに、ドライバーの安全運転の状況もリアルタイムで把握することが可能。また、デジタルタコグラフの基本項目も確認することができ、燃費状況や運行稼働率も含めた業務効率化を図ることができる。
もう一つの興味深い取り組みが米Wise Systems社開発の配送計画システム「ワイズ・システムズ」だ。
これはAI・機械学習を駆使して最適な配送ルートを計画することで、配送ニーズの増大やドライバー不足、CO2削減に対応し、輸送効率の向上をサポートするソリューションである。
三菱ふそうでは、このほか5月13日(金)の主催者特別講演にて、弊社副社長兼開発本部長の安藤寛信より「EVトラックの市場導入とカーボンニュートラル輸送の展望(仮)」についての講演も開催。
さらに、5月12日(木) にMFTBC出展ブース内にて、慶応義塾大学教授で評論家として活躍する岸博幸氏を招き、「カーボンニュートラル:私たちにできること」をテーマにした講演も実施するという。
試乗会も実施! 「UDアクティブステアリング」推しのUDトラックスの出展
UDトラックスは快適で安定したステアリング感覚を実現した「UDアクティブステアリング」搭載の大型トラック「Quon(クオン)」を出展する。
「ジャパントラックショー 2022」 では「このステアリングを知ると、もう後戻りできない」をキーコンセプトに、ドライバーに寄り添うソリューションとして2021年7月に発表・発売した「UDアクティブステアリング」、12段電子制御式オートマチックトランスミッション「ESCOT-Ⅵ」など、ドライバーの運転環境や安全性を追求した多くの機能や商品を紹介する。
「UDアクティブステアリング」は、従来の油圧式ステアリングギアの上部に新たに搭載した、電気モーターによる支援機能である。電気モーターに付随する電子制御ユニット(ECU)が、1秒間に約2000回の頻度でさまざまなセンサーから運転環境を感知して走行方向とドライバーの意図を判断し、あらゆる走行条件下において、ドライバーの運転操作をアクティブにサポートするもの。
後退・右左折・旋回などの低速走行時には取り回しが軽く、速度が上がるにつれてステアリングの安定感が増していく。また積み荷や路面状況、横風などにも左右されない安定したステアリングを実現し、疲労軽減と安全に寄与する。
電子制御式トランスミッションESCOTシリーズは、大型トラックの走行の負担軽減を目指して開発されたもの。シフトチェンジのストレスから解消され、ドライバーは路上から注意をそらすことなく、安全を優先できるようになっている。
最新の「ESCOT-Ⅵ」は、ハードウェアとソフトウェアの制御をさらに進化させ、正確で迅速なギアチェンジを実現。燃費のバラつきを抑えることで最適な省燃費運転をサポートするという。
このほかUDトラックスでは、UDアクティブステアリングやESCOT-Ⅵのほか、クラス最大級の積載量を実現した大型トラック「クオン」8リッターエンジン搭載車(ショートキャブ)などを展示しており、ステージショーや写真撮影などを体験できるようになっている。
また、会場の外でUDアクティブステアリングの操作フィールを体験することのできるクオンの試乗会が実施するとのことで、これも新しい試みとして注目される。
そのほかの出展の見どころは?
一口にトラックといってもジャンルが広いので、ここではトラックメーカーの出展のみご紹介してきたが、もちろんそのほかにも見どころはたくさんある。
まず、今年はトラックのEV化元年といわれるが、トラックメーカー以外でも元気なEVメーカーが出展する。それがEVモータースジャパンだ。
北九州市のEVモーターズ・ジャパンは、商用EV(バス/トラック/トライク)、および急速充電器の製造/開発/販売から、蓄電池/PV(太陽光発電)を活用した再生可能エネルギー事業を手がける会社だが、独自開発技術「アクティブ・インバータ」搭載のBMS(バッテリー・マネジメント・システム)とモーターを最適に制御することで、バッテリーの劣化防止と電力消費を削減し、バッテリーの長寿命化と長距離走行を可能としているという。
EVトライクなど3タイプのEVを出展するが、なかでも全長5990×全幅2130×全高2900mm、車両総重量6000kg、航続距離230km、荷室容量1万8000リッターの商用EV「6t物流車」が面白そうだ。オプションで車両ボディへソーラーパネルを設置したり、荷室へ座席を搭載して乗合タクシーとして運行することも可能だという。
また、トラックショーというと架装メーカーがいっぽうの主役だが、今回も架装メーカーの出展は少ないものの、冷凍・冷蔵車の矢野特殊車体、開発物が得意のセフテーローダの花見台自動車、車両積載車の雄・浜名ワークスなどが出展。さらに、ここにきてカーゴボディ大手の日本トレクスの出展も決まり、システム車両を出品するというニュースも入ってきている。
このほか「ジャパントラックショー2022」には、軽トラック、レッカー車、部品・用品、整備・アフターサービス、ソフトウェアなど、トラック関連の製品が大挙して登場。4年ぶりの開催とあって、その進化ぶりも注目だ。
おさらいをすると、会期は5月12日(木)~14日(土)の3日間。開場時間は午前10時~午後6時まで(最終日のみ午後5時)。会場は、横浜市西区みなとみらい地区の「パシフィコ横浜」A~Dホール、屋外ピロティ、コンコース。来場者は5万人を見込んでいる。
入場は基本的に無料だが、Web事前登録や招待券、名刺が必要。事前登録者はQRコードを活用したシステムにより受付を通らず入場できるので、新型コロナの感染予防とスムーズな入場のため、事前登録が望ましいようだ。
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