<p>【西論プラス】国富の海外流出助長 四半期決算の義務廃止を 経済部長・藤原章裕</p><p>【西論プラス】国富の海外流出助長 四半期決算の義務廃止を 経済部長・藤原章裕 金融審で開示義務そのものの廃止も議論したが、作業部会の大半が慎重論を唱えたため見送られた。だが、首相の意図が骨抜きにされた感はぬぐえず、企業経営の改革にはつながらないのではないか</p><p>上場企業約4千社が3カ月ごとに経営成績を公表する「四半期開示」を巡って、金融庁の金融審議会は4月18日の作業部会で、金融商品取引法で義務付けられている「四半期…</p><p>反応 記者会見する関西経済連合会の松本正義会長=4月18日、大阪市 上場企業約4千社が3カ月ごとに経営成績を公表する「四半期開示」を巡って、金融庁の金融審議会は4月18日の作業部会で、金融商品取引法で義務付けられている「四半期報告書」を廃止し、証券取引所の規則に基づく「四半期決算短信」に一本化することを了承した。四半期開示を巡っては、「経営が近視眼的になる」との批判を受けて岸田文雄首相が見直しを表明。金融審では開示義務そのものの廃止も議論したが、作業部会の大半のメンバーが慎重論を唱えたため、見送られた。だが、首相の意図が骨抜きにされた感はぬぐえず、企業経営の改革にはつながらないのではないか。 「望ましい方向への第一歩だが、抜本的な制度見直しを期待したい」 四半期開示の義務付け廃止を求める緊急提言をまとめた関西経済連合会の松本正義会長(住友電気工業会長)は同日の記者会見で、金融審の方針を評価しつつ、改めて義務付け廃止を求めた。 住友電工は景気変動の影響を受けやすいハイテク製品を扱うため、一部投資家は同社の四半期開示に注目しているが、「負担が大きすぎるのでやめたい。英国やフランスが任意化する中、日本の政府は企業を信用していないことになる」と語気を強めた。早稲田大商学部のスズキ・トモ教授によると、全上場企業の四半期開示コストは低く見積もって3千億円に達する。 提言の主眼は、四半期開示制度は①経営者や投資家の短期的な利益志向を助長②3カ月ごとに膨大な人的資源を投入し、長時間労働の是正の観点から問題③国際的に任意化される中、日本企業は詳細な開示を求められることで不利な競争条件に置かれる-の3点だ。 特集・連載:</p>