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 ある寺の前に、いつも泣いてばかりいるお婆さんが住んでいた。和尚が理由を聞くと、お婆さんには2人の息子がいて、1人は雪駄屋、1人は傘屋を営んでいて、天気が良いと傘が売れず、雨が降ると雪駄が売れないと嘆いていた。そこで和尚は「天気の良い日は雪駄がよく売れ、雨の日は傘がよく売れると考えなさい」と諭しその後、お婆さんは笑って暮らした▼ゴールデンウィークが終わった。コロナ禍ながら移動制限のない久しぶりの大型連休で、帰省した人、遠出した人は少なくないだろう。一方でリフレッシュできなかった人、急きょ出社を余儀なくされた人などもいたはずで、「なぜ自分だけ」と恨んだりしがちだ▼しかし物事は考え方次第。禍福はあざなえる縄の如しである。幸不幸は撚り合わさった縄のように絡み合い、予測は不可能。だからこそ、幸せな時も有頂天にならず謙虚に感謝を忘れず、不幸な時も悲しみばかりにとらわれず希望を持って進む。ミスチルも「嫌なことばかりではないさ」と歌っている▼とはいえ、大変化の時代だ。台風のあと大干ばつになるような激しい移り変わりである。雪駄も傘もどちらも売れない天候がしばらく続くかもしれない。では世の中が欲している物は何か。従来の枠にとどまることなく、柔軟な発想と挑戦する勇気が試される。(22・5・9)

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