リーズナブルなVRヘッドセットとして人気のMeta Quest 2(旧Oculus Quest 2)には、「Beat Saber」や「Pistol Whip」など、音楽に合わせてアクションを起こすリズムゲームが多いし、VRChatなどのメタバースでは音楽ライブやDJイベントが多数開催されています。
他のVRコンテンツも、イマーシブオーディオ(3Dサラウンド)な音声トラックでVR空間の広がりを聴覚でも感じさせてくれるものが多く、Quest 2にこそ良質な音響環境が必要なのではと感じるばかり。しかし、Quest 2内蔵のスピーカーはそこまで音質に優れたものではありません。
そこでVR・ASMR向きイヤホン、もしくはゲーミングイヤホンと呼ばれる有線イヤホン4種をQuest 2と接続して音質チェックを行ってみました。参考までにBluetooth接続の完全ワイヤレスイヤホンを使ったときのインプレッションも合わせてご紹介しましょう。
リファレンス曲はビートセイバー&ボーカロイド曲
音質チェックに使ったのは2曲です。まずは皆さんご存知ビートセイバーのOST VOL.1に収録されている「Beat Saber」です。公式Twitterによれば、2021年で3番目に多くプレイされた曲なんですって。
もう一曲は、VRChatユーザーでもあるボカロP・書店太郎さんの新曲『「Nu_Horizon」feat.巡音ルカ』です。低域ではボトム感がありながらも透き通ったハイトーンも聴かせてくれる名曲です。
付属品は最高「AMVR Oculus Quest 2 イヤホン」
メーカー:AMVR
実勢価格:1,680円
販売サイト:Amazon
(音場:音の広がりを感じられる空間。分解能:左右の音の分離度合い)
Quest 2に合わせて短めのケーブルで作られている専用イヤホン。アルミハウジングに10mm径のダイナミックドライバーを内蔵。ケーブルが余りにくいうえ、イヤーピースを差し込んで固定できる巻き付け式のホルダーが付属します。このホルダーだけでも数百円分の価値ありますね。
他のイヤホンを知らなければ幸せになれる、かも。真っ先にボーカルをはじめとしたメロディラインをリスナーに届けようとするエネルギーバランスで、その他の音は団子のように固まりがち。
しかしこれ、どこかで聴いたことがあるクオリティ。音量が稼げないからとフルボリュームにするとホワイトノイズも乗ってくるし、100均で買えるイヤホンの音質に近い?
ボイスチャット中心ならコスパよし「final E500 カナル型 イヤホン」
メーカー:final
実勢価格:2,020円
販売サイト:Amazon
6.4mm径のダイナミックドライバーを用いた細身の有線イヤホン。安価な有線イヤホンのなかではセパレーションに優れており、立体的な音場を捉えるポテンシャルの持ち主。ASMRコンテンツを楽しむ方々から支持されているのもわかります。
アタック(音の出だし)がバシッと決まっているので、リズムゲームとの相性が極めて良い。低域を盛っておりドラムのインパクトが高く、リズムに乗るという体験が心地いい。「えっちなイヤホン」と呼ばれるほど、声の再生品質が高いのもポイント。
しかし音楽再生はいま一歩。Quest 2内蔵アンプだと駆動力が足りず、音が増えると声が埋もれやすい。特にベースラインやキックドラムなど、低音が中高域の音をマスクしちゃいがちです。ディストーションサウンドなバッキングがザクりとくる「Nu_Horizon」を聴くと、やや物足りなさを感じてきます。
5サイズというイヤーピースの多さは大きな魅力。左右の耳の穴のサイズが大きく異なるユーザーでも、ベストな組み合わせでセッティングできるでしょう。
リズムゲームで使いたい「ロジクールG333ゲーミングイヤホン」
メーカー: Logicool
実勢価格:6,470円
販売サイト:Amazon
中高域を鳴らす5.8mm径ダイナミックドライバーと、低音域を奏でる9.2mmダイナミックドライバーの2WAY構造。ゴージャスです。しかもUSB Type-Cポートしか持たないデバイスでも使えるように、USB Type-C変換ケーブルも付属します。
まずUSB変換ケーブルを用いての接続はなし。音がくすむし、ボリュームが上げられません。
アナログ接続はQuest 2の内蔵アンプでもかなり大きな音にすることができます。ビートセイバーでキューブを切ったときのSEはドラム音に打ち消されがちですが、自分の切ったタイミングを聞き取ることができるほどには音が分離しています。
音場の広さも満足できるレベル。アタックはやや鈍い。しかしリリース(音の余韻)は美しい。伸びやかな鳴らしっぷりはボーカルや楽器音を聴き取るのにマストです。
「Nu_Horizon」はドラムの重さと強さがしっかりと身体に伝わってきます。だからこそ、巡音ルカの声とバッキングだけが鳴るシーンに切り替わったとき、空が一気に晴れ渡ったかのような透明感に鳥肌が立ちます。
FPS向けに硬質な音が鳴るようにチューニングされたものが多いゲーミングイヤホンですが、G333は声が入るドラマシーンが多いゲームにフォーカスを当てて開発したものかもしれません。
価格帯が納得いくならベストバイ「final VR3000」
メーカー:final
実勢価格:7,980円
販売サイト:Amazon
6mm径という小型のダイナミックドライバーを用いたイヤホンですが、ハウジングは大きめ。5サイズのイヤーピースが付属しますが、小耳の方は事前に試着・試聴を行ってください。激しく動いても耳から外れないように、耳に合わせてケーブルを巻いていくシュア掛け(耳掛け)が必須です。そのためメガネをつけたままQuest 2を使う人にとっては、着脱がし辛いところがあります。
装着面でのデメリットを補ってなお余りある音質の良さがVR3000の魅力。強引に言ってしまえば、E500とG333両方の長所をかけ合わせたサウンドです。アタックとリリースが正確というのは、ゲーム用イヤホンとして何よりも頼もしいポイントですから。
分解能も高く、多くの音が重なるシーンでも1つ1つの音が分離して聴こえてきます。これならばFPSゲームで対戦相手の足音も把握しやすいはず。
感度が高めでホワイトノイズが乗りやすいところがありますが、慣れてしまえば気にならないし、小音量でもいい音を聴いているという満足度が得られますね。
「Nu_Horizon」を聴くと、ヌケのいい巡音ルカの声に存在感の強いドラムスと厚みがあるディストーションサウンドが気持ちいい。これだよ! Quest 2の音にこのエモさがほしかったんだ!
【Bluetooth編】音楽を聴くことに専念するなら「AirPods Pro」
メーカー:アップル
実勢価格:2万9036円
販売サイト:Amazon
Bluetoothイヤホンが使えるQuest 2ですが、遅延が多いというウワサあり。実際に試してみたところ、笑えてきました。「Beat Saber」を選んでプレイすると、見事にぴったり1拍遅れるんですよ。でもBPMが異なる他の曲を選ぶと、まともにプレイできません。「あれ、Quest 2ったら大遅延なボイスチェンジャー使っていたっけ?」と脳が混乱してきます。
ただしVRChatやclusterのワールド内で音楽を聴くことに専念するのであればアリです! 装着しやすい点がメリットとなり、ミュート前提会話ナシなDJイベントを楽しむなら使ってもいいでしょう。
執筆:武者良太
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