https://news.yahoo.co.jp/articles/a80920d183567c0b2269f74aaed20f4438012d8c
自動車や飲料の缶に使われるアルミニウムの価格は世界的な需要拡大により高騰していて、名古屋市内ではアルミ缶の“持ち去り”が横行しています。
ビンや缶などのごみの集積所を取材すると、生活のために自転車でアルミ缶を集めるホームレスと、車で大量のアルミ缶を持ち去る業者の間で、争奪戦が起きていました。
■世界的な需要拡大でアルミの価格が高騰…繰り広げられる“アルミ缶争奪戦“
名古屋市中区のペットボトルやビン、缶など再利用できるごみの集積所となっている資源ステーション。
そこへ、ハンドルや荷台に大量の空き缶をぶら下げた自転車でやって来た男性に話を聞きました。
ホームレスの男性:
「仕事もないもんで、そのためちょっとやってる…」
ホームレスのこの男性は、アルミ缶を買取業者に持ち込み、生活のためにお金に換えています。
2021年3月に1キロ約90円だったアルミ缶の価格は、2022年3月には約180円と、1年でほぼ2倍になりました。
いま名古屋市中心部では、買い取り業者に持ち込むと1キロあたり170円で引き取ってくれるといいます。
背景にあるのは、世界最大の生産国・中国をはじめとした世界的な需要の高まりです。日本アルミニウム協会によると、車体の軽量化が求められる電気自動車の製造など、様々な分野でニーズが拡大。
アルミの輸出国であるロシアによるウクライナへの侵攻で先行きも不透明なことから、価格は今後も上昇する可能性があるといいます。
■車で片っ端から持っていく…ホームレスを悩ます車でアルミ缶を持ち去る業者
自転車で住宅街を回り、アルミ缶を集めては回収業者に持ち込むホームレス。路上で暮らす人たちが、生活の糧にしているのは今も昔も変わりません。
最近は、新型コロナの影響で“家飲み”が増え、ホームレスが集められる空き缶は増えているはずですが…。
ホームレスの男性:
「困っとる。飯代が作れん場合もある。あの人らは毎日やっている、月曜から金曜まで。全部持っていくから…」
アルミ缶を集めるのに苦労しているといいます。
別のホームレスの男性:
「小さな業者が車で持っていく。車乗って回ればたくさん取れる。半端じゃないです、持っていく量が」
車でアルミ缶を片っ端から持ち去る業者が目立ってきているといいます。
■“持ち去り”により市は最大3億円の損失…車で大量のアルミ缶を持ち去る業者
市民が出した缶は、アルミとスチールに分別しプレスした後、業者に売却され市の収入になります。
しかし、“持ち去り”により名古屋市では、本来得られるはずの1億5000万円から3億円ほどが失われているといいます。
■全てのごみ集積所のパトロールは経費的に無理…“持ち去り“に禁止条例がない名古屋市
貴重な財源を守るため、この放置状態を何とかすることはできないのでしょうか。市に聞きました。
名古屋市環境局の担当者:
「市内に資源ステーションが約1万8000か所、それをパトロールするとなると、相当の人と経費がかかりますので…。費用対効果も考えますと、現在条例に至るまでにはなっておりません」
アルミ缶が、収集した缶全体の50パーセント以上を占めている愛知県豊橋市や豊田市などの県内の中核市は、“持ち去り”について罰則付きの違反行為とする条例を設けています。
しかし、名古屋市は売価が高いアルミの回収割合が全体の僅か5%程度で、その量も少ないのが現状です。
車を使った持ち去りも頻発する今、生活の糧にしているホームレスへの支援の在り方と合わせ、改めて考える時期に来ているのかもしれません。
引用元: ・【資源ゴミ】アルミニウム価格高騰 ゴミ集積所でホームレスと業者が『アルミ缶争奪戦』 持ち去られる市は最大3億円の損失 [鬼瓦権蔵★]
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