Meta社のメタバースへの注力発表後、日本では相次いで「メタバース」の名を冠する協会や社団法人が設立されています。しかし、一般ユーザーからは「どの団体がどのような主張でメタバースと関わろうとしているのか分からない」という声が少なくありません。またVR業界からも各団体ごとの主張に関心を寄せる傾向が続いています。
そこで今回、MoguraVR News編集部は「一般社団法人日本メタバース協会」「一般社団法人Metaverse Japan」「一般社団法人 メタバース推進協議会」「NPO法人バーチャルライツ」「日本デジタル空間経済連盟」の5団体に質問状としてアンケートを送付。各団体の方針や注力ポイントについて質問しました。
本記事では、5団体中、回答のあった3団体からの回答を掲載します。
※5月4日追記:「一般社団法人Metaverse Japan」より後日回答が届いたため、記事内に追加しました。
(以下、回答は団体名五十音順にて掲載)
1. 団体の設立理由と目的
貴団体の設立理由と目的をお聞かせください。
日本デジタル空間経済連盟
日本デジタル空間経済連盟は、業界横断の総合経済団体として、デジタル空間における経済活動を活性化し、日本経済の健全な発展と豊かな国民生活の実現に寄与することを目的に設立されました。
日本メタバース協会
一般社団法人日本メタバース協会は「メタバース・ビジネスのサポーターとなる」ことをビジョンとしています。
メタバースは、将来的にはありとあらゆる業種に影響をおよぼし、多くの企業にビジネスチャンスを与える可能性があると考えています。一方で現状ではメタバースに関する情報やテクノロジーがいつでも簡単に手に入るわけではありません。
当協会が情報の架け橋となったり、企業と企業をつなぐ活動等を行うことができれば、わが国のメタバースを取り巻く環境もさらに前に進めるのではと考え、協会を設立しました。
バーチャルライツ
メタバース、とりわけソーシャルVRの当事者団体として、文化振興や表現の自由、匿名で居る権利の擁護等を目的としております。目的を達成するためには、個人を中心とした多くの方からの参画が必要不可欠だという考えから、特定非営利活動法人として設立しております。
Metaverse Japan
メタバース(Metaverse)は、仮想現実空間を利用し、ユーザー同士のコミュニケーションや現実さながらのライフスタイルを可能にする世界です。 もう一つの現実世界としてメタバースが広がる事で、働き方の概念すらも変わり始めています。
コロナ禍をきっかけに、デジタルトランスフォーメーションが一気に加速。 XR 技術の進化、クラウドや5G の普及などが、よりリアルに、身近にメタバースを体感することを可能にしました。
さらに、ブロックチェーン技術を活用した、NFT の登場によって、デジタルアセットの透明性が向上。 コミュニティとエコシステムが結びつく事が生む、新しいビジョンが世界に広がりました。
そして、2022 年。 「Metaverse 」と「Web3 」という新しい概念が普及することで、時代が大きく変化して行きます。
多くの業界がメタバースという概念のもとに結集し、新しい変化が生まれ始めています。
個人やコミュニティがパワーを持ち、リアルとバーチャルな世界が融合して新しい価値が生まれていく社会へ、私たち一般社団法人Metaverse Japanは、業界や企業の垣根を越えて産官学で最先端の情報や世界観を広く共有するハブとなることで、 メタバースという新しい概念を議論していく礎となります。
そして、日本が持つIP やアーティストのクリエイティビティや、新しい起業家の持つ力をメタバース時代に解き放つ様々な活動を行うことで、 日本の力がグローバルのマーケットやユーザーコミュニティで輝ける事を目指しています。
多様性を尊重しながら、人々の可能性を伸ばし、活躍できる場を増やす。 私たちMetaverse Japanは、幸せを育む新しい社会の力として、広く貢献していきます。
2. 構成メンバー、組織構成
貴団体の中心となる構成メンバーと、組織構成(何名参加か? 関連企業の参画数は?)をお聞かせください。
日本デジタル空間経済連盟
■日本デジタル空間経済連盟 役員(2022/4/15時点、五十音順)
代表理事 |
北尾 吉孝 |
SBIホールディングス株式会社 代表取締役社長 |
理事 |
小粥 泰樹 |
株式会社野村総合研究所 研究理事 |
理事 |
齋藤 正勝 |
株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド |
理事 |
高橋 惣一 |
株式会社電通グループ 執行役員 |
理事 |
沼田 薫 |
野村ホールディングス株式会社 執行役員 |
監事 |
河合 健 |
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 パートナー |
■日本デジタル空間経済連盟 一般会員(2022/4/15時点、五十音順)
- SCSK株式会社
- SBINFT株式会社
- SBIホールディングス株式会社
- Zホールディングス株式会社
- ソフトバンク株式会社
- 株式会社電通グループ
- 凸版印刷株式会社
- 株式会社トレードワークス
- 日本マイクロソフト株式会社
- 株式会社野村総合研究所
- 野村ホールディングス株式会社
- 株式会社プロジェクトカンパニー
- 株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド
- 株式会社ロイヤリティ マーケティング
■日本デジタル空間経済連盟 賛助会員(2022/4/15時点、五十音順)
- アンダーソン・毛利・友常法律事務所
- 一般社団法人日本メタバース協会
当初は、団体の事務局をSBIホールディングスが中心となって務めます。また、リーガル面はアンダーソン・毛利・友常法律事務所に全面的にサポートいただきます。
継続的に会員募集は継続しており、各業界から50社程度を会員として募り、5月中に新たに入会予定の会社もございます。
日本メタバース協会
理事3名、監査役1名に加え、数名の分科会リーダーを中心に、現時点で約30社・団体の会員(もしくは入会検討)に参画していただいています。
バーチャルライツ
【中心となる構成メンバー】
理事:3名
顧問弁護士:1名
政策担当:7名
広報担当:2名
企画担当:14名
法務担当:1名
会員:約720名
Metaverse Japan
理事・アドバイザー
代表理事
長田 新子
一般社団法人渋谷未来デザイン理事・事務局長 / SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYAエグゼクティブプロデューサー
馬渕 邦美
PwC コンサルティング合同会社 マネージングダイレクター
理事
山口 有希子
パナソニック コネクト株式会社 常務 / CMO
デザインセンター担当役員 / DEI担当役員 / カルチャー&マインド推進室 室長
杉山 知之
デジタルハリウッド大学 学長
中馬 和彦
KDDI株式会社 事業創造本部 副本部長 兼 ビジネス開発部長 / KDDI∞Lab長
豊田 啓介
東京大学生産技術研究所 特任教授 / 建築家
楢崎 浩一
SOMPOホールディングス株式会社 デジタル事業オーナー 執行役専務
宮田 裕章
慶應義塾大学 医学部 教授
絢斗 優
ブロックチェーンコンサルタント
アドバイザー
藤本 真衣
ブロックチェーンコンサルタント
加藤 直人
クラスター株式会社 代表取締役 CEO
山口 征浩
株式会社Psychic VR Lab 代表取締役 CEO
加納 裕三
株式会社bitFlyer 共同創業者
株式会社bitFlyer Blockchain 代表取締役
澤邊 芳明
株式会社ワントゥーテン 代表取締役社長
さわえ みか
株式会社HIKKY COO / CQO
國光 宏尚
株式会社Thirdverse 代表取締役CEO / ファウンダー
株式会社フィナンシェ代表取締役CEO / ファウンダー
株式会社gumi ファウンダー / gumi cryptos capital Managing Partner
天野 清之
株式会社カヤック メタバース専門部隊 事業部長
せきぐち あいみ
VRアーティスト
道下 剣志郎
SAKURA 法律事務所 代表弁護士
(2022年4月13日現在)
組織構成:
会員社数:
約100社が参加
*継続的に拡大中 (2022年5月1日現在)
提携パートナー/団体:
一般社団法人 日本ブロックチェーン協会
バーチャルシティコンソーシアム
*他、現在複数の協会団体との提携を進めております
3. 「メタバース」に対するイメージ
貴団体のイメージする「メタバース」とはどういったものでしょうか?(類似するサービスや具体的な定義などあれば、お聞かせください)
日本デジタル空間経済連盟
大変恐れ入りますが、当団体は設立して間もなく、会員との協議を深められていないため、現段階では本件への回答を差し控えさせていただければと存じます。
日本メタバース協会
物理的には、PCやスマホ、VRゴーグルやHMDを用いてアクセスする、インターネット上に広がる三次元の仮想空間をイメージしています。概念的には、性別、人種、考え方などの異なる人々が自由に集まり活動する空間であり、アイデア次第で現実世界ではできないことを実現できる可能性にあふれた空間であると考えています。
バーチャルライツ
生まれながらの人種、性別などの属性や物理法則にとらわれない表現が可能で、文化的活動も行われているようなインターネット上の空間をイメージしております。ソーシャルVRと言われる分野のサービスが当法人の「メタバース」に対するイメージに類似しております。
Metaverse Japan
メタバースという言葉自体は非常に広範に使われており、それぞれの業界がそれぞれの理解でメタバースを名乗っているのが現状だと理解しています。
Metaverse Japanでは、今後テクノロジーや時代の変化の中でメタバースという概念が収斂していくものと想定しています。だからこそ、多種多様なメタバースが混在しているという前提に立ち、当協会では多様性を尊重しています。
メタバースとは「仮想現実空間を利用し、ユーザー同士のコミュニケーションや現実さながらのライフスタイルを可能にする世界であると同時に、物理世界を拡張する世界」という大きな枠組みで考えています。
10年後には多くのアプリがVRやARにネイティブ対応可していくことを想定しているので、現時点でXRに対応しているか否かは最重要事項ではありません。
当協会が主に対象としているメタバースを幾つか事例としてあげます。
これらの用途以外にも今後急速に発展するメタバースが登場してきた場合、都度ワーキンググループや勉強会などを拡張して議論を深めて行きたいと考えております。
1.産業用メタバース
NVIDIA社の提唱するomniverseやMicrosoft社の提唱するMicrosoft Meshのように、製造業や各種シュミレーション、XRミーティングを活かした共創ツールといった、産業用途のメタバース。
2.物理拡張メタバース
人間とロボットの共通認識を持つデジタル空間としてのメタバースや、ARを活用したメタバースであり、リアル拡張までを概念として含む。
3.バーチャルSNS
ユーザー同士の交流や関係性を拡張的に構築する場としてのメタバース。
アバターやワールド等を一般ユーザーが製作できるようSDKが公開されているものが多く、バーチャルネイティブなカルチャーを発信するユーザーコミュニティも発展している。
4.Web3メタバース
Otherside、Deccentraland、Oncyber x RTFKT, Sandbox、HighStreet等のWeb3要素と紐づいたメタバース
5.IP主導メタバース(エンターテイメントメタバース)
例えば、ディズニーメタバース、ガンダムメタバースなどの、強力なIPが主導するIP完結メタバース。また、東京ゲームショウや東京ガールズコレクションなどのイベント単位のメタバースも既にアナウンスされており、これらのイベントメタバースもIPメタバースの一つとして考えています。
6.ソーシャルプラットフォーム化するゲーム
Roblox、Fortnite等のゲームをメタバースに含めるか否かについては国内外で多くの議論が起きています。
しかし、事実上の次世代ソーシャルプラットフォームとして稼働しているこれらのゲームの動向を全く見ないでメタバースを語るのは、大きな時代の変化を見過ごすリスクも高いと考えています。
Metaverse Japanでは、現在はこれらのソーシャル要素の強いゲームはワーキンググループのメイン要素ではありませんが、定期的に勉強会の開催を検討する対象と考えています。
4. 今後の具体的な活動内容
貴団体の今後計画している具体的な活動内容はどういったものでしょうか?(例:各VRプラットフォームサービス企業のサポート、一般ユーザーに向けた「メタバース」サービスのポジティブなイメージの広報活動、「メタバース」事業を考えている企業へのコンサルティング、政府への政策提言など)
日本デジタル空間経済連盟
・デジタル空間経済発展に向けた、課題やニーズなど事業者の意見集約
・政策提言、報告書の提出
・政府、国内外の行政団体との対話
・デジタル空間に関わる総合的な情報発信
日本メタバース協会
定期的な活動としては、毎月の『勉強会』があります。具体的には「協会におけるビジネスマッチング実例紹介(4月)」、「海外企業のメタバース取り組みの紹介(5月)」を予定しています。『勉強会』とは別に『分科会』があります。こちらは、「海外と日本のメタバース事情、(グローバルビジネス推進部会)」などをテーマにし、会員同士の議論を通して実務的知識・情報の共有をはかります。
以上に加えて、当協会が力を入れている活動に『ビジネスマッチング』があります。これは協会がハブとなって会員と会員(もしくはその知人)を紹介し、シナジーを生み出そうとする試みです。すでに多くのミーティングが実施されており、そのうちのいくつかは新しいビジネスになろうとしています。
バーチャルライツ
4点、述べさせていただきます。
【政府等への政策提言】
昨年度は経済産業省、文化庁文化審議会委員、デジタル大臣政務官との意見交換の場がありました。今後もソーシャルVRの振興のため、政策提言を継続していく予定です。また、過去1年間で8件のパブリックコメントに対し意見書を提出している通り、草の根的な活動も継続して実施していく予定です。
【文化的活動を行う任意団体との更なるアライアンス強化】
当事者団体として、実際に活動を行っている方々の意見を取り入れる枠組みの構築を行っていく予定です。
【ホワイトペーパー等の作成】
約720名の会員を抱える団体として、当事者の視点や意見を取り入れたホワイトペーパー等の作成を行っていく予定です。
【啓発活動の実施】
VR Citizen ConferenceやVR写真大賞など、ソーシャルVR文化の啓発活動を今後とも行っていく予定です。
Metaverse Japan
Metaverse Japan では、業界や企業の垣根を越えて最先端の情報や世界観を広く共有するハブとなることを目指しています。
下記の様な活動を、産官学の枠組みで行って行きます。
1.勉強会
Metaverse Japan では、国内外のメタバース、NFT 、Web3 業界等の有識者をお招き し、事例の勉強やディスカッションをする場 として毎月1回程度の定例会を開催していき ます。
勉強会はYou Tubeなどでの配信も予定しております。
2.ワーキンググループ
複数のワーキンググループを立ち上げ、定期的な会員間のコミ ニュケーションと学びの場を提供します。
各ワーキンググループは、座長をそのエリアのトップランナーにお願いしており(発表予定)、有識者と理事・アドバイザーが連携して組成、活動していきます。
- メタバース VR / メタバース AR
- NFT, DAO
- Web3 Metaverse
- ガイドライン・法整備 (政策提言)
*ワーキンググループは会員の要請により追加される可能性がございます。
3.シグニチャーイベント( 年1回予定)
Metaverse Japan Summitの開催
4.ラボの創設
Web3 メタバースを研究する産官学の知が循環するラボの創設
5.コラボレーション
業界や企業の垣根を越えて最先端の情報や世界観を広く共有するハブとなることを目指して、連携している、他の協会団体とのコラボレーション勉強会、イベントの開催を行います。
5. 「メタバース」を日本で展開していくために必要な要素は?
「メタバース」を今後日本で展開していくために必要な要素はどういったものとお考えですか?(例:一般ユーザーへの認知拡大、VRヘッドセットなどのデバイスの普及、新アプリの開発、他サービスとの連携など)
日本デジタル空間経済連盟
昨今、デジタル技術やゲーム・コンテンツ産業の発展に伴い、デジタル空間での交流や取引が普及する中で、デジタル空間での経済活動が現実世界に与える影響は大きくなることが想定されます。
デジタル空間の経済発展が日本の経済発展に資するためには、利用者やコンテンツ保持者の様々な権利保護、ブロックチェーンやNFTビジネスの発展につながる法規制等の改革を、他国に先んじて早期に実行することが必要であると考えます。
日本メタバース協会
自由な発想と多様性を認め合う寛容さだと考えています。
ひとことでメタバースといってもその背景や仕組みは多種多様で、ゲームコンテンツなどを通して多くのファンと技術者によって支えられ発展してきたものや、ブロックチェーンやNFTを使って経済活動を行うものもあります。前者は日本が得意とする分野で、後者は海外で急速に拡大しておりWeb 3.0につながるものとの見方もあります。
当協会も設立当初は、ブロックチェーンやNFTをつかうものに目が向いていましたが、会員や協会へ問い合わせをしてくださった方々との対話を通して、メタバースがありとあらゆるビジネス、そしてひとりひとりの生活に関わる可能性があることを学びました。
今後メタバースに関わる人たちが、既成概念にとらわれることなく自由な発想と多様性を認め合う寛容さをもって臨めば、メタバースは人々の生活を豊かにするキーワードになると考えています。
バーチャルライツ
3点、述べさせていただきます。
【表現の自由の擁護】
いわゆるポリティカルコレクトネスに基づいたコンテンツ規制の外圧が迫りつつあります。日々の”生活”が行われるメタバース空間を展開していくためには、自由にコンテンツを発信できるプラットフォームが維持されるよう、文化先進国の日本が表現の自由を尊重することが重要だと考えております。
【クリエイター支援】
メタバースを展開していくためには、企業が提供するコンテンツだけでなく個人クリエイターが提供するコンテンツも必要不可欠です。各種制度改善を含めたクリエイター支援も重要な要素だと考えております。
【認知拡大】
メタバース、という新しい単語に対して不信感を持っているユーザーが存在し、中には偏見に基づいた批評を行う方もいることは純然たる事実です。その様な方から誤解を解くことで、誰もがメタバースに触れやすくなるのではないかと考えております。
※当法人が「展開」に必要だと考える要素を開示させていただきましたが、急進的な「展開」は既存の文化的基盤を不安定化させる要因にもなり得るため、投機的な側面を含む急進的な「展開」には慎重な姿勢をとっております。
Metaverse Japan
Metaverse Japanでは、物理デバイスや各種プラットフォームの進化に併せてメタバースを3つのフェーズに分けて普及していくと考えています。
Phase1: 2022年から2024年頃 開発期
メタバースに対する期待値は高いけれど、それぞれの業界が各々平行して開発が進む時代。
産業用マルチバースを中心に普及が進み、VRsns、VRゲーム、IPメタバース、Web3メタバースも開発が続き、アーリーアダプターが積極的にはいっていく時期。
この時期は、将来訪れるメタバース普及期へ向けたR&D;や新事業設立にとって重要な時期であり、法制度などの基礎をいかに整備できるかが重要である。
Phase2:2024年から2027年頃 普及前期
普及型VRグラスが市販されるようになり、メタバースが日常になりはじめる時期。
オフィス、公共コミュニケーションバースも普及し始める。複数のメタバース間でのデータの相互利用などがWeb3メタバースでも増えてくる。
海外Web3メタバースではアバター規格や複数アプリ間でのデジタルファッションNFTの相互運用が一般化しはじめ、アバター規格のデファクトスタンダードが見えてくる時期となる。
この時期までに日本は次世代型VRM規格のような技術インフラを確立し、国内外のメタバース間の相互連携ができる土台を作っておく必要がある。
この時期になるとVRゴーグル、ARゴーグルといった言い方はあまりされなくなり、汎用的なXRゴーグルやMRゴーグルが増えてくる。それにともない、物理空間を拡張するメタバースの用途が急拡大し、スマートシティとメタバースをかけ合わせたサービスが増える。
また、普及型XRゴーグルの登場に伴いメタバースという言葉の使われ方も変わってくる時期。
Phase3:2027年から2030年頃 メタバース生活圏確立期
6Gの普及に伴い、常時接続型メタバースが普及する時代。
ノートパソコンの代わりにXRゴーグルで仕事をする人がスタバに現れる時期。
この時期を越えると、メタバースという単語が、2022年現在のインターネットという言葉と同じように普遍化したものとなる。
Metaverse Japan ロードマップ(2022年4月13日現在)
6. 「メタバース」と「NFT」の関連について
「メタバース」と非代替性トークン「NFT」の関連について、選択式でお応えをお願いします。以下の①〜⑥のもので、貴団体のスタンスに近しいものをお選びください(どれにも当てはまらない場合は、文章でご回答ください)。
①メタバースとNFTは接続必須なものであり、将来的にはどのメタバースでもNFTが連携しているものになるべき。
②NFTは一部のメタバースで有効に活用できると期待できるものであり、将来的にメタバースへのNFTの連携は進むだろうと予測している
③NFTとメタバースは関連づけられるケースとそうでないケースがある。各プラットフォームごとにスタンスは変わってくると予想している。
④NFTとメタバースの接続にはあまり期待していない(疑問視する部分がある)。将来的な普及に対しては検討の余地がある。
⑤メタバースとNFTは関連しない。今後も両サービスが接続して普及することはないだろう。
⑥現状では分からない。今後の展開を調査した上で検討したい。
日本デジタル空間経済連盟
大変恐れ入りますが、当団体は設立して間もなく、会員との協議を深められていないため、現段階では本件への回答を差し控えさせていただければと存じます。
日本メタバース協会
②および③が当協会のスタンスに近いものです。
昨年より海外で急速に拡大しWeb 3.0につながるとも目されているメタバースにおいて土地やアート等“価値のやり取り”がなされるものにおいてはNFTが有効に活用されており、さらなる取引拡大を想定しています。一方で、多くのゲームや三次元空間での表現を目的とする“価値のやり取り”を必要としないメタバースではNFTは必要ではありません。つまり、メタバースはその目的によって多種多様であり、NFTを使うかどうかは各プラットフォームのスタンス次第だと考えています。
バーチャルライツ
④NFTとメタバースの接続にはあまり期待していない(疑問視する部分がある)。将来的な普及に対しては検討の余地がある。
Metaverse Japan
③
Web3の要素と絡んだメタバースにおいてNFTは重要ですが、Web3要素のないWeb3型の企業が運営するメタバースのほとんどでは、今後もNFTは関連づけられません。数年の間はWeb3型のメタバースとWeb3型のメタバースは各々別々の進化をたどる期間が続くと予想しております。
しかしながら、Web3が次世代の成長領域としてグローバルマーケットから急速に資金と支持を獲得している現状で、Web3の要素を全くキャッチアップしないままWeb3型のメタバースだけを研究するのでは日本のガラパゴス化を招きます。
また、現時点ではメタバースとNFTを紐づける話題が多いですが、長期的には新しい組織形態である「DAO」が主体となってメタバースと関わっていく機会も増えて行きますので、NFTだけでなくDAOも含めて広くWeb3全体とメタバースの橋渡しになっていくのが重要であると当協会では考えています。
DAOが社会に浸透していく10年後、20年後には株式会社中心の現代社会とは比較にならないぐらい多様な働き方や組織の在り方、コミュニティのあり方が実現していますが、現時点では DAO x メタバースについて本格的な議論が行われる場所は限られています。
当協会では、XR業界、Web3業界の両業界で実際に実務で関わっている方々をアドバイザーや理事に参画頂き、それぞれの現場で起きている事例やノウハウを共有していくことで、激動する時代の変化の先を見据えた広い視座を会員の皆様が得られる事を目的としています。
7. 現状の「メタバース」の課題点・問題点
現状の「メタバース」に関する課題点や問題点はどういったものとお考えですか? またそれに対するアプローチ方法などもあればお聞かせください(例:アバターの著作権関連の整理、各プラットフォームごとの連携、ユーザーがバーチャルで活動する際のトラブル防止策など)。
日本デジタル空間経済連盟
大変恐れ入りますが、当団体は設立して間もなく、会員との協議を深められていないため、現段階では本件への回答を差し控えさせていただければと存じます。
日本メタバース協会
海外のメタバース関連企業や団体、そして当局との連携が課題だと考えています。
ご質問の例としてあるようなアバターの著作権関連の整理などのルール作りはもちろん大切ですが、それが日本独自なものとなってしまうと、イノベーションの足かせとなるリスクもあります。
メタバースは国境の概念を超えた自由な活動の場となるものもあるため、海外の動向をしっかり観察し関係者とコミュニケーションをとりながら、前に進むことが重要だと考えています。
バーチャルライツ
【干渉と規制】
メタバースで行われる文化的活動に理解の無いまま規制や制限、ガイドライン制定が行われ、様々な活動が萎縮してしまうのではないかという懸念を抱いております。当法人としては、当事者目線で関連団体へのヒアリング等を実施し、必要最低限の範囲でアプローチを取っていければと考えております。
【不正な二次流通】
アバターを始めとした3Dモデル、コンテンツの更なる権利擁護が必要だと考えております。不正な二次流通がクリエイターに与える影響は計り知れず、早急な対応策の構築が必要不可欠です。メタバースで活動される方々の環境を維持するため、関係各所と連携し、当法人としては政策提言を中心としたアプローチを行っていければと考えております。
【参入障壁の高さ】
メタバース関連機器の価格が依然高価であり参入障壁となっていると考えますが、この点は、時間経過により改善されていくものだと認識しております。
Metaverse Japan
・物理層と隣接するメタバースへの注目度の少なさ
日本語圏でのメタバースの議論は既存バーチャルSNSやVRゲームとの対比の文脈で語られる事が多いですが、一方で、産業全体の規模感としては産業用メタバース、AR、更には人間とロボットの共通認識の接点となるコモングラウンドなど、物理層と隣接するメタバースもまた今後の重要な成長分野です。しかしながら、物理層と隣接するメタバースへの注目度はまだまだ不足していると考えています。当協会では、特定の用途に特化したメタバースだけを推進するのではなく、メタバースという概念自体の多様性を伝える活動を行っていきます。
・アバターの規格共通化
日本ではVRMやVCIなどの素晴らしい規格が存在し、既に複雑なエコシステムが進化しています。一方で、今後のデジタルファッション時代を見越すと、数年後にはアバター単位だけではなく、服や靴などのパーツ単位の売買が活発化することを見越した次世代規格の策定が急務となっています。更に、海外のWeb3メタバースで主流となる規格とも互換性を持たせた設計にしておくことが、将来日本のガラパゴス化を避けるのに重要な事です。
今後、多くの企業がそれぞれのメタバースを制作していくのが予想されますが、各メタバースごとに互換性が無く孤立したメタバースの集合となってしまうのは業界全体にとって不幸な事です。音楽業界がMIDI規格によって大きな進化を遂げたように、メタバースという業界全体の発展の土台となる技術的なインフラ作りの為の土台となるワーキンググループを当協会では行います。
・メタバースネイティブな文化への理解
メタバース上のコミュニティを物理世界のコミュニティの延長と捉えるか、物理世界と切り離した独自のコミュニティと捉えるかは人それぞれですが、人が集まる場所には必ず新しい文化が生まれます。物理の自分よりもバーチャルの自分の方によりリアルを感じる層も今後一定の割合で増え続け、メタバースネイティブのカルチャーも生まれ始めています。しかしながら、その文化コンテンツの潜在的な価値がVRネイティブ層以外にほとんど知られていないのが現状です。
Metaverse Japanは、短期的なビジネスの文脈ではなく、産官学連携を意識した長期的なビジョンに則り、メタバースネイティブな文化発信・メタバース時代ならではの個人の多様な生き方を支援する活動を行っていきます。
8. 直近での活動予定、イベント情報
直近での活動予定やイベントの情報などあれば、お聞かせください。
日本デジタル空間経済連盟
大変恐れ入りますが、当団体は設立して間もなく、会員との協議を深められていないため、現段階では本件への回答を差し控えさせていただければと存じます。
日本メタバース協会
4月下旬に会員向け勉強会を予定しています。こちらでは会員同士が協力してプロジェクトを推進している具体例を当該会員より紹介してもらいます。5月にも勉強会を行います。こちらは海外企業のメタバース取り組みを紹介する予定です。勉強会とは別に「グローバルビジネス推進部会」などの分科会がありますが、こちらは随時実施していきます。
バーチャルライツ
公式Discordにてイベント情報を配信しております。
https://discord.gg/X92xdRJMEh
匿名のまま「VR会員」になることもできますので是非ご参加ください。
Metaverse Japan
Metaverse Japan Summit2022 (2022年 7月14日 近日公開予定)
近年、デジタル技術が格段に進歩し、さらにwithコロナの新たな生活様式が広がろうとするWeb3時代の今、メタバースは急激に拡大する可能性を秘めています。 しかしながら、各業界ごとのコミュニティやその理解にはまだ距離があり、新しい知識にキャッチアップできている人は世界的に見ても少数です。
Metaverse Summit2022は、一般社団法人Metaverse Japanが開催する、メタバースに関するグローバルなイベントで、日本を代表する識者である、MVJの理事、アドバイザー陣を中心に、今後のデジタル経済圏の新たなフロンティアであるWeb3 Metaverseの社会実装に向けた課題や、未来を議論しWeb3 Metaverseを社会に広げる場となります。
理事・アドバイザー・事務局陣は、過去にメタバースやNFT の最先端のイベントを実施してきたメンバーが在籍しております。
国内外のトッププレイヤーが集まるイベント開催を目指しています。
本イベントは、基本ハイブリッドイベントになり、COVID19の感染状況を鑑みながら、登壇者・会員は人数制限つきで現地に参加できるように調整して行きます。
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