Mercedes-Benz T-Class
ヴォクシーより短く、カングーより長い
メルセデス・ベンツが2022年4月26日に発表した「Tクラス」は、ラージサイズのミニバン「Vクラス」の弟分といえるモデル。全長4498×全幅1811×全高1859mmとVクラスよりふた回りほどコンパクトなボディに、5シートと大開口の両側スライドドアを備えた。トヨタ ヴォクシーやホンダ ステップワゴンより約200mm短く、ルノー カングーより約200mm長いボディは絶妙なサイズ感で、ルーミーな室内空間と優れた取り回し性の両方を“いいとこ取り”している。本国では3万ユーロ(約407万円)がスターティングプライスだ。
まずは1.3リッター直4ガソリンターボ(M200型)、1.5リッター直4ディーゼルターボ(OM608型)の2種類から導入をスタートするが、追ってピュアEVモデル「EQT」も追加する予定で、さらに3列目シートにフルサイズの独立式シートを搭載するロングホイールベース仕様の投入も確定している。
商用車ベースだからこその使い勝手
2021年10月に登場した新型シタンと車台を共有するTクラスは、トランスミッションには7速DCTだけでなく6速MTもラインナップ。LCV(小型商用車)としてヘビーデューティな場で活躍するシタンがベースということで、本国では信頼性の高さにも期待する声が高い様子。
“働くクルマ”由来の美点は使い勝手面にも表れている。地面から荷室床面までの高さが561mmと低く抑えられているので重たい荷物の積み卸しがしやすく、大開口の両側スライドドアにより狭い場所でも容易に乗り降りが可能。また、後席を折り畳めば奥行き1.8mの広大なフラットフロアが生まれる。バックドアは跳ね上げ式のテールゲートが標準だが、90度/180度の2段階に開く左右両開きタイプも選択することができる。
1台に4個のチャイルドシートを搭載可能
なお、2列目シートにはi-Size基準適合のチャイルドシート固定装置を装備しており、最大3つのチャイルドシートを搭載することが可能であるという。また、助手席には自動的にチャイルドシートを認識する機能を採用。検知した際には助手席側エアバッグが作動しないようになっている。
インストゥルメントパネル周りはコンベンショナルなデザインだが、中身は最新のメルセデス基準である。自慢の最新車載インフォテインメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」も搭載しており、「ハイ、メルセデス」でお馴染みの自然対話型音声認識機能にも対応している。
ADAS系も、ブラインドスポットアシストやアクティブレーンキープアシスト、標識認識機能、車速制限機能など基本的なものは全車に標準で採用。先行車を認識して速度に応じた車間距離を維持する「アクティブディスタンスアシストディストロニック」なども、オプションとして用意している。
ピュアEVのEQTも年内に登場か
電気自動車バージョンのEQTは「現在開発中」とされているが、メルセデス・ベンツでは先刻より2022年中にすべてのセグメントにBEVを設定すると明言しているので、年内にはお目見えするはず。
現時点では内燃機関モデル、フル電動モデルともに、Tクラスの日本への導入については言及されていない。とはいえ、Tクラスのサイズ感は日本のような過密な交通環境にもフィットしやすく、カングーやボクシー、ステップワゴンといった小さめのミニバン人気も依然として高い。スリーポインテッドスターを掲げるジャストサイズなミニバンの上陸を望む声も、きっと多いに違いない。
【SPECIFICATIONS】
メルセデス・ベンツ T180
ボディサイズ:全長4498 全幅1811 全高1859mm
ホイールベース:2716mm
車両重量:1607kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1332cc
最高出力:96kW(131hp)/5000rpm
最大トルク:240Nm/1600rpm
トランスミッション:7速DCTもしくは6速MT
サスペンション:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
駆動方式:FWD
タイヤサイズ:前後205/60R16
メルセデス・ベンツ T180d
ボディサイズ:全長4498 全幅1811 全高1859mm
ホイールベース:2716mm
車両重量:1678kg
エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:1461cc
最高出力:85kW(116hp)/3750rpm
最大トルク:270Nm/1750rpm
トランスミッション:7速DCTもしくは6速MT
サスペンション:前マクファーソンストラット 後トーションビーム
駆動方式:FWD
タイヤサイズ:前後205/60R16