2022年4月、マツダは新世代ラージ商品群の第1弾モデルであるCX-60を公開、販売開始は今秋となっている。
CX-60は、直列6気筒縦置きの新プラットフォームをはじめ、新開発のトルコンレス8速AT、ドライバー異常時対応システム(DEA)などの最新のADASを搭載している。
CX-60のボディサイズは、全長4,740mm×全幅1,890mm×全高1,685mmで、現行型CX-5の全長4,575mm×全幅1,845mm×全高1,690mmのひとまわり大きい。しかしCX-60、CX-5ともに5人乗りということでキャラクターが被るのではないだろうか。
そこで、今回は2021年11月に大幅改良を行った現行型CX-5でロングドライブを行い、熟成度合いを検証した。
文、写真/萩原文博
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大幅変更で走りの質感の向上とキャラ変を図った
CX-5はマツダのグローバル販売台数の約3分の1を占める基幹車種である。2世代目となる現行型CX-5は2017年2月に登場し、2021年11月に大幅改良を行い、さらなる進化を遂げている。
変更点を挙げると内外装では、フロントグリルは頑強なフレームのようなタフな逞しさが感じられる特徴的なシグネチャーウィングを採用。網状の面的な表現から奥行きを感じさせる立体的なピースをフローティングさせて、先進性と力強さを見せる表現へと深化させている。
ヘッドランプやリアコンビネーションランプは、ランプ外形とランプユニットのデザインを変更し、水平方向の広がりを感じさせるつの横長楕円のLEDを採用している。
インテリアでは、シートの構造を変更し、着座時の骨盤角度を最適化することで、自然にバランスを取れるS字着座姿勢を実現できるようになった。
さらにシャシーは、車体フレームに減衰構造を採用したのをはじめ、車体とシートフレームの取付剛性の向上。そしてスプリング&ダンパーの特性を見直し、長時間運転しても疲労感の少ない運動性能を目指し、さらに快適性、静粛性も向上させている。
また、新たにオンロードからオフロードまでマツダらしい人馬一体感を高める「MAZDA INTELLIGENT DRIVE SELECT(Mi-DRIVE)を採用し、オフロードでの走破性を高めたオフロードモードを追加している。
運転支援機能では、アダプティブLEDヘッドライトのグレアフリー(防眩)ハイビームLEDを従来の12分割から20分割としたことで、夜間の視認性を向上。ドライバーの危険認知をサポート。さらに、クルージング&トラフィックサポート(CTS)を採用し、渋滞時のストレスを軽減させている。
CX-5は大幅改良と同時に2つの特別仕様車を設定。スポーツアピアランスは、スポーティな気持ちの昂ぶりや都会性を求めるユーザー向け。そしてフィールドジャーニーは家族や仲間と日常生活とアウトドアライフをシームレスに楽しむユーザー向けとなっている。
今回、ロングドライブのパートナーに選んだのは、燃費性能に優れて、経済的なディーゼルエンジンを搭載したCX-5 XD スポーツアピアランス。
外観は、フロントグリル、シグネチャーウィング、バンパー下部、ホイールアーチ、ドア下ガーニッシュ、ドアミラー深い光沢によって精悍さを際立たせるブラックで引き締め、19インチホイールもブラックメタリック塗装となっている。
インテリアはブラックレザーシートをはじめ、ステアリング、ドアやシフト周りにも情熱的な赤ステッチを採用するなど、ドライバーを刺激する演出が施されている。
絶品シートにより、2,000km以上走行しても疲れなし!
今回のロングドライブの行き先は4月25日にオープンするららぽーと福岡とした。1970年(昭和45年)生まれの筆者にとって思い入れの強いアニメと言えば、“機動戦士ガンダム”。小学生の時にファーストガンダムがブームとなり、日曜日にはガンプラを買うため、ショップなどで早朝から並んだ。
今回、ららぽーと福岡に立像ができたν(ニュー)ガンダムは、1988年に公開された劇場版「機動戦士ガンダム・逆襲のシャア」で連邦軍のエースパイロットであるアムロ・レイが設計、搭乗した機体をモチーフにしたもの。
当時18歳となった筆者にとって、単なるロボットアニメにしか感じられなかったガンダムが、実は深いヒューマンドラマだったと気づかされた作品。個人的にはこのνガンダムが最強の機体だという深い思い入れがあり、立像をひと目見たかったのが本音。
そこで、お台場にあるユニコーンガンダムの立像から福岡にあるνガンダムの立像まで往復約2,200kmのロングドライブを行った。
せっかくなのでテスト車のCX-5 XD スポーツアピアランスのボディカラーは、ガンダムのライバルであるシャア・アズナブルのモビルスーツ、サザビーにちなんで、真紅のソウルレッドクリスタルメタリックとした。
コースのほとんどを占める高速道路では、最高速度に上限を設定し、アダプティブクルーズコントロールで走行。往路は新東名高速、復路は東名高速を利用した。
大幅改良によってシャシー性能を向上させた現行型CX-5は、19インチという大径ホイールを装着していても、無駄な揺れはほとんど発生しない。路面が荒れていても剛性が向上したシャシーがしっかりと吸収してくれ、乗員はほとんど揺れを感じることはなかった。
アダプティブクルーズコントロールと同時にレーンキープアシストシステムも使用すると、アクセルやブレーキペダル操作に加えて、ハンドルの操作もサポートしてくれるので、さらに疲れにくくなる。
特筆すべきは、シートだ。今回2,000km以上を5日間で走破したが、ドライバーだけでなく助手席の乗員も腰や臀部などに全く痛みを感じることはなかった。このシートだけでも自分のクルマに付けたいと本気で思うほどの作りの良さだ。
最高出力200ps、最大トルク450Nmを発生する2.2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンの出力はもちろん静粛性も文句なし。カタログでのWLTCモードは17.4km/Lを実現し、高速道路モード(WLTC-H)では19.5km/Lとなっている。
実走行による燃費計の数値は、新東名高速を走行した往路が17.6km/L。東名高速を利用した復路が20.4km/Lだった。
これは新東名高速と東名高速の巡行速度の差によるもの。新東名高速は静岡県内の最高速度は120km/hで3車線。対して東名高速は100km/hの2車線。新東名の平均巡行速度は110km/hぐらいで、エンジンの回転数は2,200回転だった。
一方東名の平均巡行速度は90km/h程度で、エンジンの回転数は1,800回転。この400回転の差が燃費性能にジワジワと影響を与えるのだ。CX-5XDスポーツアピアランスに搭載されているトランスミッションは6速AT。これがせめて7速ATであれば、100kmを超える巡行速度でも20km/Lを超える燃費性能を達成できるはずだ。
そして、アダプティブクルーズコントロールの追従性能はだいぶレベルアップしてきたが、ブレーキのタイミングが他社に比べて早くて強め。そして再加速が一歩遅い感じがした。それにしても、2,000km以上のロングドライブを行ってもドライバーだけでなく、乗員も疲れ知らずというCX-5のGT性能には恐れ入ったという言葉以外見つからない。
CX-60は新開発のトルコンレス8速ATを採用するものの、エンジンの排気量がアップするため、20km/Lを超える燃費性能を実現することはかなり厳しいはず。
個人的にはCX-5の2.2L直4ディーゼルターボにこのトルコンレス8速ATが搭載できれば、ボディサイズを考慮しても、国産ミドルSUVの中で無双状態ではないかと感じた。
これほどの、ポテンシャルをもつCX-5がありながら、CX-60を登場させるのであるから、期待値が高まるのは当然のことだろう。早くFRレイアウトのCX-60のステアリングを握ってみたい。
余談だが、ららぽーと福岡に訪れた時はプレオープンしていたので、νガンダムに近づいて撮影することができた。オープン後はなかなか人のいないクリーンな状態で撮影するのは難しいだろう。
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投稿 マツダ新型CX-5でνガンダムに挨拶!! 長距離テストでわかった「これで充分じゃね?」 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。