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先輩に付き合って見に行っただけなのに翌日に購入!コブラの猛毒は驚異的

 中古車は“一物一価”と言われて、同じコンディションのクルマは他にはなく、一期一会の出会いが非常に重要だ。

 今回、コブラ427 S/C(セミ・コンペィティション)を所有しているSさんも、偶然出会ったコブラの魅力に惹かれて購入に至った。

 スーパーカーやヴィンテージカーといったクルマのランニングコストをオーナーに赤裸々に語ってもらうこの企画。第3回は、アメリカ車の中でも抜群の人気そしてミステリアスなコブラを手に入れたオーナーに話を聞いた。

文、写真/萩原文博

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コブラの猛毒はあっという間に伝染する!

先輩に付き合って見に行っただけなのに翌日に購入!コブラの猛毒は驚異的
コブラ427 S/Cを所有するSさん兄弟。右側のお兄さんがドライブする

 スーパーカーやヴィンテージカーの購入は、幼い頃から憧れ続けたクルマを大人になって手に入れるというパターンと、雑誌や実車を見てインスピレーションを感じて購入に至るという大きく2つのパターンに分けることができる。

 これまで紹介したカウンタックやデロリアンDMC-12のオーナーは前者のパターンだった。しかし、今回取材したSさんのコブラ427S/Cは後者のパターンだ。

 Sさんが、コブラ427 S/Cを購入したのは、2021年5月で約1年前のこと。Sさんの先輩がコブラを販売店に見に行くので付き合って欲しいと言われ、一緒に見に行ったことで運命の出会いは突然訪れた。

 見に行った販売店にはコブラが2台展示してあったのだが、1台は先輩が購入に至った。付き合いで見に行っただけのSさんだったが、コブラの猛毒はSさんに浸透。なんと、翌日に再び販売店に行き、このコブラ427 S/Cを購入してしまったのだ。

 Sさんは、ちょうどオートバイが欲しいと思っていた時期だったし、オートバイよりも安全かなと思って。と笑顔で話す。でもこれまでクルマは何台も購入し、所有したSさんだが、衝動買いはこのコブラ427 S/Cが初めてだったという。

 このクルマを逃すと、もう出てこないという感覚もあったが、前オーナーが相当お金を掛けて手を加えていたという履歴がわかったから即購入に至ったと話す。やはり、中古車は価格に関わらず履歴が購入の大きなポイントとなるのは間違いないのだ。

今でもコブラは新車が手に入る

先輩に付き合って見に行っただけなのに翌日に購入!コブラの猛毒は驚異的
コブラ427 S/Cのリアスタイル

 コブラは、クラシックミニやスーパーセブンのように製造するメーカーが変わっているモデルで、非常に難解なモデルの1つ。実はコブラは現在でも新車で購入できるのだ。

 全長3,870mm×全幅1,780mm×全高1,220mmのボディに2種類のV型8気筒OHVエンジン、V型8気筒DOHCエンジンの3タイプの仕様があり、価格は1395万~1475万円となっている。

 コブラはACコブラとシェルビーコブラと表記されることが多い。ACコブラのルーツは1953年に登場したAC ACE。1959年に搭載していたブリストルエンジンの生産が終了してしまう。

 1961年にアメリカの元レーサー、キャロル・シェルビーがフォードからV8エンジンの供給を取り付けたことで、1963年にシェルビーコブラが発売される。そして1965年に最高出力500psを発生する427フォードV8エンジンを搭載したコブラ427を開発。ル・マン24時間レースなど11のレースで優勝を飾った。

 現在コブラは、1996年に設立されたスーパーパフォーマンスという会社が、シェルビーからライセンスを与えられて生産している。この新車のほかにもコブラにはコンティニューカーやリプロダクションと呼ばれるモデルがあり、Sさんのコブラ427 S/Cはコンティニューカーとなる。

 Sさんのコブラ427 S/Cは1991年式で、CSX4000シリーズと呼ばれるモデル。このモデルは、シェルビーが所有していたパーツと新品パーツを組み合わせたシェルビーの濃度の濃いモデルでオリジナルとほぼ同じ形をしている。

 しかもSさんのコブラ427 S/Cはル・マン24時間レースに参戦したレーシングカー仕様となっており、燃料の給油口に加えて、オイルの給油口がボディに設置されているのだ。

 ル・マン24時間レースなどの耐久レースでは、燃料はもちろんエンジンオイルも補充する。その時間を節約するため、オイルの給油口がボディに設置されているのだ。さらに、ボディにはアルミニウムを多用し、軽量化を施した特別仕様のモデルなのだ。

 コブラ427 S/Cを運転すると、多くの人に振り向かれることが歓びを感じるシーンだという。これまで様々なスポーツカーを運転していたが、コブラ427 S/Cの時とは視線が違うと話す。

 コブラ427 S/Cを所有していての苦労は、少しでも運転すると洋服がガソリン臭くなることと、ドアがあまり開かないため、特に走行後降りる時にサイドマフラーに気を付けないとヤケドすることだそうだ。だからデートカーではないですと笑顔で話す。

 また、アクセルとブレーキペダルの位置が近すぎて、普通のスニーカーなどでは両方のペダルを踏んでしまうので、レーシングシューズが必要だという。

 暑い日や寒い日、雨が降る日は乗らないというコブラ427 S/C。購入してから1年が経過したが、走行距離は300km程度という。したがってタイヤ代を含んだメンテナンス代や車検代はゼロ。

 燃料代はメーターがアバウトで、1度ガス欠になりそうになったそうだが、7リッターエンジンなので、燃費はすこぶる悪いという。

 これまで乗ったスポーツカーと比べると、すべてがアナログだが、その不便さを味わうのが楽しいのだという。

 これからの初夏はオープンカーにとってベストシーズンの1つ。タイミングがあれば、コブラ427 S/Cで出掛けようかなとSさんは考えているそうだ。フォードの7リッターV8エンジンのサウンドは、まるで人間の心臓のようなビートを刻む。このサウンドだけでも、クルマ好きならご飯三杯はいけそうだ。

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投稿 究極のスポーツカーは究極に不便…でもそれがいい!!! コブラの猛毒に堕ちたオーナーの愉悦自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。