厳しいロックダウンが続いている中国・上海では、22日から「四月之声」と題された6分間ほどの動画が拡散し、話題となっている。動画はすでに当局の検閲対象となり、中国本土では容易に閲覧できない状況だ。
動画の内容は、ロックダウン前後の上海市内の混乱ぶりを淡々と伝えるもので、音声が中心。救援物資の輸送がうまくいかない様子や、重病の父親の受け入れ先が見つからず嘆き悲しむ男性と、十分な対応ができずに困窮する行政のスタッフ、物資を配れと叫ぶ声などが記録されている。
ロックダウン中の混乱については、これまでも食料不足を訴える声などた報じられており、中国のゼロコロナ政策に綻びが出始めている印象もある。実際はどんな状況なのか。上海在住の日本人男性は、自宅での隔離生活が続いているものの、生活に支障はないと話す。
私が住んでいる市中心部では、目立った混乱はないようです。ロックダウン直後はフードデリバリーが頼めなかったり、新鮮な野菜が手に入りにくかったりしましたが、現在は1人では食べきれないほどの食材が配給されています。
スーパーやショッピングモールなどが多数あり、配送網が充実している市中心部と、昔ながらの生活に近い郊外で、明暗を分けたのではないかという。
郊外では地元住民が運営する野菜市場などで買い物をすることも多く、個々の住宅まで物資を運ぶだけの輸送力がない場合もあったのかもしれません。
上海は人口2600万人を抱える大都市で、面積は東京の約3倍。東京都と神奈川県、埼玉県の半分を足したぐらいの大きさだ。
郊外には工場も多く、上海市外の江蘇省や浙江省などから出稼ぎに来ている人も多数住んでいます。そうした人々は上海市には戸籍がないため、配給の対象として頭数にカウントされていなかったと見られています。
市中心部では、住民同士に助け合いも進んでいるという。
マンションごとにグループチャットを作って情報交換をしたり、余っている物資を物々交換することもよくあります。
全体像は当局以外の誰にも分からないが、決して上海全体が混乱に陥っているわけではなく、問題が起きているのは一部分のようではある。平穏な部分はニュースとして報じられない点は、考慮する必要がありそうだ。綻びはどこまで広がるのか、注意深く見守りたい。