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ヤリスクロスにカローラクロスなど……無塗装バンパーが急増! 昔は経年劣化で白くなったけど今どうなのよ

 大人気のヤリスクロスやカローラクロスといったクロスオーバーモデル。さらには新型WRX S4といったスポーツセダンと、あらゆるモデルに採用されている無塗装バンパー。

 わかりやすくいうと、最近よく見るホイールアーチやボディサイドなどに見られる黒いアレです。じつは歴史はかなり長く、昔から採用例が数多くあった。

 だが、新車からしばらく時間が経過すると白っぽくなってしまうなど、長く維持するのがかなり難しいシロモノでもあるのだ。なに事も技術は日進月歩というけれど、現在の無塗装バンパーは大丈夫なのか!?

文/近藤暁史、写真/TOYOTA、SUBARU、シトロエン、ベストカー編集部

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■一時は激減も今や無塗装バンパーは当たり前のアイテムに!!

トヨタ カローラクロス。フロント下部からサイド、前後のフェンダーなどが黒い樹脂製となっている

 お手入れ好きが抱える悩みのタネのひとつが無塗装樹脂が白くなってしまうこと。バンパーなどに使われる黒い樹脂パネルで、ザラザラしているのも特徴だ。

 新車のうちは黒々としていて、クルマ全体のイメージもグッと引き締めるアクセントだったりするが、いつの間にか白くなって逆に非常にみっともない。ひどいと黒かったなんて思いもよらないほど白くなってしまって、お手入れ好きでなくても誰もが気になったりもする。

 もともと日本車には少なくて、欧州車に多かったが、最近はSUV流行りでタフなイメージをプラスしたいからか、増えているのは気になるところ。今のところ、みんな黒々としているのだが、いずれ白くなってしまうのだろうか?

 黒い樹脂がバンパーなどに多く使われていたのは1990年代だろうか。欧州の実用車に多くて、塗装をあえてしないなんてさすが質実剛健だなぁ、などと思っていたりした。

 日本車でも使われてはいて、商用車が中心だった。いずれにしても、まさに色っぽくもなんともないものだったし、最近の意識としてはさすがに欧州車でも採用例が激減していただけに、過去のモノ的な存在だったのは事実だ。

■やっぱり今も白くなる……唯一の救いは進行が遅くなったコト

黒い樹脂製パーツをふんだんに使用したシトロエン C4 カクタス

 しかし、フト周りを見回してみると黒い無塗装樹脂パーツが増えているではないか。そもそも1990年代に手こずって来た派として度肝を抜かれたのが、黒い樹脂が全面に大量採用されたシトロエンのカクタスだ。

 国産車にしても、SUVでは採用例が増えているし、セダンでもスバルの新型WRX S4などが採用している。大胆と言ったら失礼だが、この増殖ぶりを見るにつけ、「もしかしたら今どきの樹脂は劣化しないのではない!?」と思ったりするほどだ。

 樹脂メーカーの担当者に聞いてみたところ、「紫外線カット剤を配合したり、油分をできるだけ保持できるようにしているが、基本的には劣化して白くなる。昔に比べれば進行は遅いけど」とのこと。

 それはそうだろう。紫外線は殺人光線と呼ばれるほどで、塗装面(正確には樹脂)すらも蝕むものだけに、無塗装の丸出しで劣化しないなんてありえないのは当然だ。前出のカクタスも今になって白っぽくなってきているのを見かけるし、悩んでいるオーナーもけっこういる。

■白くなるのは油分の抜けと樹脂の劣化だった!!

 メカニズムとしては紫外線よって油分が抜けたりして樹脂自体が劣化しつつ、空気に触れることで内部に含まれている黒い顔料が抜けて繊維状になることで白くてパサパサした感じになっていくとされている。詳しく知るにつけ、無塗装でいつまでも黒々としているのは無理ということだ。

 その防止方法はというと、なにはなくとも油分の補給で、一般的にはシリコンを主成分とした保護ツヤ出し剤を塗ることが多い。この際に注意したいのはUV吸収剤が配合されているかどうか。

 成分を見ればわかるが、実際に配合されているのはけっこう少なかったりして、配合されていないとツヤは出るものの、保護という点では効果に欠けることもある。

■バーナーで炙るという荒業も! 専用のコーティング剤が無難か!?

樹脂内の油分の補充と維持が黒さを保つコツ。保護ツヤ出し剤や無塗装樹脂用のガラスコーティング剤などでの手入れは欠かせない

 そして最大の関心事が白くなってしまった場合の復活術だろう。劣化のメカニズムがけっこう致命的だけに、真っ白になってしまうと黒々させるのは無理だが、そこそこならかなり元に戻せる。

 もちろん上記の保護ツヤ出し剤でもいいが、無塗装樹脂用のガラスコーティング剤があるのでこちらがオススメ。スカスカになった樹脂に染み込んで黒さを復活させつつ、ガッチリと固めることで再度の劣化を防止するというもので、1年間ぐらいも黒さが続くこともあるのは実にありがたい。

 荒業としてはバーナーで炙るというのもある。バイクでは昔から使われていて、カウルは樹脂自体に色が付いていて塗装されていない場合がほとんどなので、黒い樹脂同様に白っぽくなってくる。

 そこで軽くバーナーで炙って暖めることで内部に残っている油分を染み出させるというのが理屈。実際にやってみると溶けないようにするのに気を使うが、実際にツヤは復活する。

 そのほか、根本的な解決方法としては塗ってしまうのは昔から行われていて、ツヤありの黒やボディ同色など仕上がりは様々。SUVのホイールアーチの縁取りのようにデザイン要素が強いものは塗ってしまうと変になるものの、バンパーなどにモール的に使われている場合、違和感はほぼない。

 ただ樹脂であり、表面がザラザラなので意外と塗るのは簡単ではなくて、塗料に柔軟性をもたせたり、下処理が大変ではあるが、チャンとやれば貧相な感じは完全除去可能だ。

■DIYで復活も大いにアリ! 元も子もないが交換もイイ手

ちなみに塗装するのはDIYでもできなくはなくて、塗料弾きの原因となるワックス分などを完全脱脂しなければならないなど手間はかかるが、クリアを軽く吹いたり、色染め系の黒い塗料を使うとけっこううまくいく。

 パーツを脱着する手間もあって簡単ではないし、プロに頼んだほうが結局楽で安かったりするかもしれないが、トライしてもみるのもいいだろう。

 そして究極の対処法が新品への交換。黒い樹脂はピンポイントで使われていることが多く、小さいものなら部品代も高くはない。新品にして、改めて最初から保護するようにしてやれば黒さを長く維持できるし、白くなったのを前にして「どうしよう?」と悩むぐらいなら交換してしまうのも手だ。

 いずれにしても最新のクルマだからといって、白ボケしないわけではなく、いつかはやってくるものと心得て早めの対策を行うようにしたい。

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