日本維新の会の浅川義治衆議院議員(比例南関東)が行った国会質問が、ネット上で話題になっている。浅川議員は8日行われた衆議院内閣委員会で、アメリカの情報機関が昨年議会に提出した未確認飛行物体(UFO)に関する報告書を示したうえで、二之湯智・国家公安委員長に対し、「UFOをご覧になったことあるのでしょうか」と質問した。
これに対し、二之湯氏は、笑みを浮かべながら「僕の世代はあまりそういうことは話題にならなかったもので、見ておりません」と述べた。
続いて、浅川議員は「警察庁はUFOについて情報を収集したり分析したりといった、危機管理の観点から何らかの作業をしているのか」と質問。二之湯氏は「警察といたしましては、国民の生命、身体等に危害が生じる事態が発生する場合においては関係機関と連携して情報収集にあたるとともに、適切に対処してまいりますけれども、今のところそういうことはございません」と述べるにとどめた。
浅川氏「UFO精査も政治家の責任」
国会中継を見ていたネット民からは、この質疑に対する呆れたような声が寄せられた。
国会でUFO対策についておじさん達が真剣に語り合ってんのもはや笑えないって、、、
日本の国会では大臣にUFO見たことあるかなんて聞いてるのか、こんな時に。ほんとこんな議員いらんわ。
なんじゃこりゃ。
ただ、UFOの襲来にどう備えるかは、決して思い付きの質問ではなく、浅川議員の持論のようだ。浅川議員は、神奈川県や東京多摩地区の地域情報誌「タウンニュース金沢区・磯子区版」(2021年10月14日号)に出した意見広告で、自身の信条を次のように綴っている。
政治家は、想定外と言って責任逃れはできません。国家財政の破綻や、横浜への津波、横須賀への核攻撃、未確認飛行物体(UFO)として片付けられている物が一体何なのか、といったことまでしっかり精査する事も、政治家の「責任」だと思います。
過去には議場の笑いを誘った質問も…
日本の国会でのUFOに関する質疑は、これが初めてではない。2005年、民主党の山根隆治参議院議員が、麻生太郎総務相(当時)に対し、「大臣はUFOを見たことがあるか」と質問。麻生氏は「おふくろは見たといってえらい興奮して帰ってきたことがありますけれども、残念ながら私自身は見たことはありません」と答弁している。
2015年4月1日の参院予算委員会でアントニオ猪木議員が「いわゆるUFOについて情報があるのか、スクランブルをかけたことがあるのか、研究はしているのか」と質問。この質問に、議場には出席者からの笑い声が響いた。
2018年には立憲民主党の逢坂誠二衆院院員が、未確認飛行物体にかかわる政府の認識に関する質問主意書を提出。「2017年12月17日のニューズウィーク誌によれば、米国防総省に、未確認飛行物体(UFO)と地球外生命を調査する極秘のプログラムが存在したことがわかった」と指摘したうえで、政府に「地球外から飛来してきたと思われる未確認飛行物体の存在を確認したことはあるか」などと質した。これに対する政府の答弁は、「(UFOの)存在を確認したことはない」だった。
平時であれば話題作りや議場を和ませる手段の一つとしてUFOを取り上げるのも許されるだろう。しかし、隣国であるロシアがウクライナに凄惨な戦争を仕掛けている今は有事。ネット上で「そんなことをやっている場合か」との批判が出るのも仕方がないのかもしれない。