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 最近、軽自動車にも採用され始めた流れるウインカー。カッコいい、ダサいなど賛否両論あるが、今どんな車種が採用しているのだろうか?

 また、純正のオプション品、アフターパーツ市場ではどうなっているのか? さらに法的に後付けで装着した場合、問題はないのか? 流れるウインカーについて最新事情をお伝えします。

文/柳川 洋
写真/トヨタ、日産、ホンダ、柳川洋

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■「流れるウインカー」はカッコいい? ダサい?

アルファードはベースグレードには流れるウインカーは採用されない(筆者撮影)

 シーケンシャルターンシグナルランプ、通称「流れるウインカー」、はダサいかダサくないか。これは結構微妙な質問だ。

 世の中が昭和から平成に変わったぐらいのタイミングで流行ったドリカムの歌で、ブレーキランプを5回点滅させると「愛してる」の5文字を表すサインというのがあった。

 それを知っている筆者のようなオヤジ世代だと、「流れるウインカーって昔あったデコトラのアレでしょ? 昭和の自転車のテールランプでも似たようなのなかったっけ? なんか懐かしくない?」からの、一周まわって「流れるウインカー、カッコいいしアリかも」となるけれど、そんな昔のことを知らない若い人からすると「なんかダサくない?」という声が聞こえてくる。

 そもそも「流れるウインカー」、シーケンシャルターンランプが装着されるようになった理由は、はっきり言って見た目、つまり「カッコよさ」や「高級感」があるとされていたからだ。

 わかりやすい例が先代レクサスLX570。発売当時、「レクサスLXの最新装備」として、「LEDシーケンシャルターンシグナルランプをLEXUSで初採用。ターンシグナルが流れるように点灯し、右左折時の注意喚起を高めると共に先進性を演出」と大きく宣伝されていた。

 また現行アルファードだと、高級グレードにはシーケンシャルターンランプが標準で装着されるが、ベースグレードには装着されていないことからも、「流れるウインカー=高級車に装着されるもの」、という考えがあったことが透けて見える。

 だが、最近ローンチされた高級車には流れるウインカーが続々と採用されているのか、というと、実は意外にそうでもない。また、軽自動車であるN-BOXやタントカスタムなどでも直近新たに採用されたりしている。

 街中で注意して見ていると、実は思ったほど装着車が少ないことがわかるだろう。それどころか、フルモデルチェンジの際、これまで採用してきた流れるウインカーをやめてしまうケースも最近見られるようになった。

流れるウインカーは高級車のみに採用されていると思われているが、直近ではN-BOXやタントカスタムなどでも採用されている

■モデルチェンジ後に不採用にする例も

レクサスブランドで「LEDシーケンシャルターンシグナルランプ」を最も早く採用したのは2015年8月に発売されたLX

 例えばレクサスLX。先ほど書いたように、レクサスで初めて流れるウインカーが採用されたが、直近のLX600へのモデルチェンジでは不採用となった。

 同様に、「新世代」レクサスとされるNXでも、モデルチェンジで流れるウインカーは不採用となっている。

 いずれのモデルも、フロント・リアのコンビネーションランプ形状がモデルチェンジ前後で大きく変わったわけではないので、デザイン上採用したかったけれどできなかった、のではなく、今回あえて採用しなかった、ということだと思われる。

 流れるウインカーは、クルマの中央部分から側方に左右に向かってあたかも光が流れていくように見え、どちらに曲がるかというクルマの次の動きを周囲が理解しやすくて安全性が高まる、という「安全性」があるのが当初の売り文句の一つだった。

 だが、ウインカーがただ点滅するだけではどちらにクルマが曲がるがすぐわからなくて、光って流れないと困る、という認知レベルの歩行者やドライバーにばかり囲まれて運転している、という状況はあまり現実的ではないだろう。

 だからやはり、安全性というよりは「見た目」のための装備。シーケンシャルに点灯させるのには大したコストがかからないことを考えると、それぞれのクルマごとに「カッコよく/高級感があるように見えれば採用、そう感じられなければ不採用」という世界なのだと思われる。

 ウインカーの光が流れるとカッコよくて高級感がある、と全ての人が感じるわけではなく、また逆に全ての人が流れるウインカーはダサい、と感じるわけでもない、ということだろう。

 その証拠と言ってはなんだが、もうすぐ発売になるホンダステップワゴンの「お上品バージョン」のほう、「AIR」に、今回新たに採用されてもいる。

新型ステップワゴンの「上品系」AIRと「オラオラ系」SPADAのうち、流れるウインカーはAIRのみに採用される模様

■日産のデザイナーは実は流れるウインカーが好き?

最新の日産車であるノートオーラやアリアでは流れるウインカーが採用されていることから、最近の日産のデザイナーは流れるウインカー好きの人がいるのではないかと筆者は睨んでいる

 一部では「流れるウインカーはダサくてオワコン、常時点灯しているデイライトの白色光が、右左折する時にオレンジ色のウインカーとして片側だけ点滅し、反対側はデイライトのまま、というダブルファンクションのウインカーがイマドキのスタイル」という声もある。

 だが最近では、「常時点灯のデイライトが右左折する際、流れるウインカーに変化する」パターン、つまり先ほどの「最新トレンド」と流れるウインカーの両方を組み合わせたクルマも出てきている。

 具体的には日産の最新のクルマ、ノートオーラやBEVのアリアなどが、流れるウインカーを最新のトレンドの中に組み込んでいる。

 両車ともフロントターンランプは長くて「へ」の字型をしており、車両中央に近い半分が固定点滅式、残りの半分だけ流れるというハイブリッド式。アリアのリアは流れるが、オーラはリアウインカーの長さが短いせいで、通常の点滅タイプとなっている。短すぎたら流れる意味がないですからね。

 また輸入車でも、流れるLEDウインカーを最初に流行らせたアウディや、ランドローバーなどがハイブリッド式を採用している。だから「流れるウインカー=オワコン」、というわけでもないようだ。

 実は、最近の日産のデザイナーには、密かにシーケンシャル推し、流れるウインカー好きの人がいるのではないかと筆者は睨んでいる。

 こちらをご覧いただこう。ノートオーラとアリアにオプション装着が可能な、流れるウインカーが光るドアミラーだ。

これまで法律・規制上ドアミラーウインカーは「流れる」ことができなかったが、日産はなんと規制対応のものを作ってしまった

 2014年10月に、流れるウインカーが日本国内の規制で初めて認められた時、流れるウインカーの装着は「前後のみ」に限られる、と明記されていた。つまり、ドアミラーウインカーはシーケンシャルが認められない、ということだった。

 だからこれまでは、「流れるドアミラーウインカーはNG」、というのが常識だった。日産は、その常識をわざわざ創意工夫によって破ってきて、ドアミラーウインカーの「流れる化」に成功している。「どんだけ流れるウインカー好きなんだよ」、と筆者はついツッコミを入れたくなった。

 日産の外装オプションHPでの説明によると、「流れるようなウインカーランプと側面方向指示器の点灯モードを、車両標準のウインカーの点灯モードに同期させることで法規に対応」させた、とのことだ。

 よく見てみると、ドアミラーウインカーの一番外側の数センチだけ通常の点滅式となっており、それ以外の部分は流れるウインカーになっていて、こちらもフロントウインカー同様ハイブリッド方式。ドラミラーウインカーの一部だけ通常の点滅式にし、他のウインカーの点灯モードに同期させるという「コロンブスの卵」で、規制をクリアしたようだ。

 流れるLEDウインカーを世界的に流行らせたのはアウディで、2009年に日本に初めて導入したのもアウディ。クルマの解錠・施錠時にウインカーだけでなくフロント・リアコンビネーションライトもダイナミックに動かすぐらい「流れる」好きなアウディだが、ドアミラーウインカーまでは流れさせていない。

 それを考えると、日産の「流れる」好きはかなり気合が入っていると言っていいだろう。

■流れるウインカーは後付けできる?


G-FACTORY 昼間でも明るい シーケンシャルウインカー 40cm 30連 流れるウインカー LED テープライト 12V 2本入り シリコン 薄型 切断可能 防水 オレンジ アンバー 側面発光 簡単取付 保証1年
G-FACTORY 昼間でも明るい シーケンシャルウインカー 40cm 30連 流れるウインカー LED テープライト 12V 2本入り シリコン 薄型 切断可能 防水 オレンジ アンバー 側面発光 簡単取付 保証1年
 

 どうしても標準装備の普通のウインカーでは物足りず、なんとかして自分のクルマにも後付けで流れるウインカーを装着したい! という人もいるかもしれない。実際に、後付けの流れるウインカーを装着しているクルマが走っているのを目撃することもある。

 流れるウインカーを後付けするには、大きく分けて2つのやり方がある。

 1つはコンビネーションランプユニット全体を、流れるウインカー付きのものに交換してしまうやり方。これはいわゆる「殻割り」といって、一度純正のコンビネーションランプユニットのレンズ部分を外し、中に流れるウインカーを仕込んで改めて車体に組み付ける、というものだ。

 長所は当然フィット感が良く、純正部品のように見えること。短所は工賃が高いこと。左右両方で数万円程度の出費となる。

 もう1つはフロントフードとコンビネーションランプユニットの隙間にあるゴムのパッキンを剥がし、ユニットの外側に沿って、LEDが入ったシリコンテープを貼り付けて配線をリレーに取り付けてしまう、というものだ。

 長所はDIYでできてしまい、価格も左右で数千円から1万円強と安価なこと。短所はやや後付け感があること。ただしコンビネーションランプユニットの外縁に沿ってLEDが流れる、というのは純正のシーケンシャルターンランプでもよくあるので、気にならない人も多いかもしれない。

 実際にLED入りシリコンテープを通信販売している会社に、電話で聞いてみた。

筆者 「結構流れるウインカーを後付けしたいという人は多いのですか?」

担当者 「はい、意外といらっしゃいます」

筆者 「これって車検対応と考えていいのでしょうか」

担当者 「車検は通らないこともあると聞いています。あくまでも社外品とお考えください」

筆者 「整備不良などで捕まってしまった、というような事例はありますか?」

担当者 「我々の知る限りでは、整備不良で検挙された事例は聞いていません」

 ……とのことだった。

 流れるウインカーの保安基準は厳格で、クルマの中心部から水平方向に外に向かって左右対称に点灯すること、全てのウインカーが同期して同タイミングで発光すること、毎分60〜120回の点灯回数であること、点灯後、他の全ての電球が点灯するまで点灯し続けることなどが定められている。

 社外品はすべてこの保安基準に適合していない、というわけではないだろうし、「車検対応」「保安基準適合品」などとうたっているものであっても、取付方法によっては不適合になってしまうことも考えられる。

 安易な気持ちで取り付けて、「不正改造」と見なされると、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金。

 また保安基準を満たさない「整備不良車両の運転」とみなされると、3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金。

 行政処分は違反点数1点、普通車で7000円の反則金となる。

 やはり、重要な保安部品であるウインカーを後付けする場合は、あくまでも自己責任のもとで、ということになる。

 保安基準に沿って慎重に後付けするよう気をつけたい。

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